精神科では診察を受けられず
9月27日には1時間目は出席したが、学校にいられない状況となり、担任が「もう少し頑張れないか?」と聞いたが、無理な様子だった。そのため、担任は母親に電話をし、帰宅させた。このとき、Gさんは精神科へ行っている。しかし、未成年のためか、診察を受けられず、母親に電話をしている。
Gさん お母さん来て。一緒じゃないとだめと言われた。
母親 なんで一緒じゃないとダメなの? どこの病院? 急に言われても行けない。
Gさん もういい。
母親 大丈夫?
Gさん もういい。治った。
Gさんはこのとき、病院名を言わなかった。担任は翌28日、Gさんが登校後、面談した。学校に行けなくなった理由を明確にはしなかったが、Gさんは「弟が中学から不登校で、通信制の高校へ行っている。私も通信制高校へ行きたかったが、親に反対された。そのため、ベランダから飛び降りをしようと思ったことがあったが、誰かに止められた」と話していたという。担任は「お母さんも心配している」と言ったものの、心には響かない様子だったという。
「昼食を買いに行く」が最後の一言となった
9月30日10時30分すぎ、Gさんは「昼食を買いに行く」といい、家を出る。Gさんは、いつもなら近所のスーパーに行くときにはスリッパを履いているが、このときはスニーカーを履いていた。
母親 なんでそんなの履くの?
Gさん いいじゃん
Gさんは、家を出たあと、10時49分、ゆうちょ銀行で2万円を引き出した。この2万円を引き出したのは、白石被告の指示だったのか? 検察官の質問には指示だったと回答したが、「捜査段階では、指示していないと答えている」と紹介されると、「捜査段階のほうが記憶が鮮明ですので、そちらが正しい」と述べた。
こうしたやりとりは、この日の質問では多かった。これまでの面会で、「最初の3人目までは覚えているが、それ以降はあまり覚えていない」などと話していたが、そうした記憶の曖昧さを象徴しているやりとりだ。
11時15分、「Suica」に2000円をチャージし、Gさんは最寄駅の改札を入場した。12時14分、JR新宿駅を出て、同15分、小田急線新宿駅に入り、いったん、町田駅で降りた。白石被告は待ち合わせ場所を相武台前駅に変更し、Gさんは13時16分に改札を出ている。証拠調べの中で、白石被告は13時35分、アパートから駅の間の防犯カメラに、一人で写っている。ただ、同51分、駅方面から一人で自宅に向かう様子がカメラに写っている。
「最初は(待ち合わせに)遅刻しました。なぜなら、(6人目の)Fさんの遺留品が部屋に散乱していて、片付けをしていたからです。Gさんには『過去に何人も人を殺した』とは言っていないので、遺留品が散乱していると不審に思われてしまいます。玄関にあったFさんの靴などは、奥にある電動式保冷庫の横に置いたんです。床にもノコギリや包丁が置いてあったんです。それも、保冷庫の横に置きました」