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ヒットは「主人公が優等生だから」なんかじゃない…古参オタクの語る『鬼滅の刃』の魅力

2020/11/07

 初日から10日間で興行収入107億円超えをはたしたアニメ映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の大ヒットは、コロナの影響が大きいとの見方がある。洋画の新作公開が止まったことで空いたスクリーンが割り当てられ、そのため異例の興収になったというのだ。観に行った人のなかには、それほど『鬼滅』ファンではない“にわか”も多数いるという。

 しかし、アニオタ歴数十年の古参オタクは、劇場版『鬼滅』はヒットするべくしてヒットした作品だと強く主張する。『鬼滅』のどのあたりが面白いのか? 世の中の“にわか”に向けて、アニオタならでの視点から『鬼滅』のヒットの理由を熱く語ってもらった。

※この記事では現在劇場公開中の映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の内容が述べられていますので、ご注意ください。

(取材・文=押尾ダン/清談社)

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』予告編より

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『NARUTO』でさえ成し遂げなかった圧倒的女子人気

 まずは、週10本のテレビアニメをチェックし、漫画は単行本を月20冊購入するという新村俊樹さん(仮名、41歳)に『鬼滅』について語ってもらおう。新村さんはオタクの祭典であるコミケにもサークル参加して20年のキャリアをもつ。

──ズバリ、なぜ『鬼滅』はここまで人気になったと思いますか。

新村 多くのアニメを観てきた経験からいうと、国民的な大ヒットには女子を含めた小学生の支持が欠かせません。同じジャンプ漫画の『ONE PIECE』がまさにそうでした。その点、『鬼滅』は男子にだけじゃなく、というより、むしろ女子に人気を博している。これは『るろうに剣心』や『北斗の拳』、『NARUTO』でさえ成し遂げることができなかったことです。

 子どもがハマれば、母親も一緒にアニメを観るようになるじゃないですか。『鬼滅』には親たちも夢中になれる要素がちりばめられています。実際、少年漫画がアニメ化された作品なのに、『鬼滅』は30~40代の女性ファンが相当な数に上るそうです。子どもも親も巻き込めるかどうかというのは、ヒットするうえですごく重要なんですよ。