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「一番人気のモチーフは…」 現代絵本界を引っ張る“5人の作家”たち

絵本雑誌『MOE』編集長インタビュー#2

2020/11/13

 年間に出版される新刊絵本の数をご存じだろうか?

 その数、実に約2000冊。そしてその絵本たちは、世に出た瞬間に必ず強力なライバルと向き合わなければいけない。

 絵本雑誌『MOE』の門野隆編集長が言う。

「ミリオンセラーはほとんどがロングセラー絵本なんですよ。小説ならベストセラーは文庫本になって、単行本に比べてスペースができる。でも絵本は判型もバラバラ。結構大きいし、書店で置く場所は限られている。そこでロングセラーが幅広く売れ続けているので、これは非常に大変です。今までの名作が全部ライバルになってくるわけですから」

絵本雑誌『MOE』の門野隆編集長 ©文藝春秋

 最近目立ったところでは2008年から発売された『だるまさんが』『だるまさんの』『だるまさんと』の3部作がそれぞれ100万部を突破(トーハンミリオンぶっく2020調べ)した。

 それ以外のミリオンセラーはほとんどがそれ以前に出版されたものである。

 1967年に出版された『いないいないばあ』(文・松谷みよ子/絵・瀬川康男)は、これまで累計682万部発行されながらも、「いまだに年間10万部程度売れ続けている」という“お化けコンテンツ”だ。

『いないいないばあ』の人気は50年以上経っても衰えない

「(1982年発売で累計284万部の)『きんぎょが にげた』も最近また売れ出しているんです。自分が読んでよかった絵本を子どもや孫に伝えていきたいという思いがあるので、みなさん親、子、孫まで3世代で楽しんでいるものがたくさんあるんだろうと思います」

時代性に左右されない絵本特有の難しさ

 自己啓発本やビジネスのハウツー本であれば、時間が経てば時代にそぐわない部分が出てくる。

 ところが、絵本はほとんど時代性に左右されない。

 マスターピースは古びることもなく、いつまでもピカピカと輝き続けるのだ。新参者が割って入っていくのは相当に難しい。

 そこでMOE編集部では2008年から絵本専門店や書店の絵本売り場担当者に、読者へのおすすめの近刊作品を推薦してもらう『MOE絵本屋さん大賞』を始めた。本賞をもとに全国の書店で近刊のフェアが組まれているという。