今年の4月、新宿伊勢丹にGUCCIのポップアップショップができた。
GUCCIであれば同じ建物の中に、常設の店舗があるのになぜ?
そこは、絵本作家であるヒグチユウコとのコラボレートコレクションの展示・販売をするための特別なスペースだったのである。
ファンタジーな世界をイメージした空間の中にあるのは、彼女の作品の代名詞である猫などさまざまなキャラクターが描かれたレザーバッグやTシャツなどGUCCIらしい商品の数々だ。
キッズコレクションではあるが、子どもがお小遣いを握りしめてきても買える代物ではない。店内では大人の女性たちが楽し気に商品を眺めていた。
近年、老若男女を問わず人気を博す絵本
コミカルなキャラクターがシニカルな視点で思索を巡らす作品を描くヨシタケシンスケは、『情熱大陸』でも取り上げられ、バラエティー番組などにも出演。著作は絵本コーナーにとどまらず、書店の目立つ場所で平積みになっている。
ミロコマチコは全国で巡回展を開催中で、南インドの小さな出版社タラブックスの高価なハンドメイド本が無印良品で売られていたりする。
絵本はいまや子どもだけでなく、万人が楽しめるコンテンツとして大人の日常にも浸透しつつあるのだ。
「大人が絵本を手に取ってくれる機会が増えてきて、裾野は広がっていると思います。その楽しみ方も様々で、たとえば仕掛け絵本みたいなものを飾ったり、装丁のかわいいものはギフトとしてプレゼントしたりする。タラブックスさんの本のようなこだわりを持たせた本も出てきていますね」
そう話してくれたのは、昨年創刊40年を迎えた絵本雑誌『MOE』の門野隆編集長である。大人も楽しむ絵本の世界の現状を語ってくれた。