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なぜいま絵本が大人の心に刺さるのか? 絵本にある“意外な魅力”とは

絵本雑誌『MOE』編集長インタビュー#1

2020/11/13
note

子どもにも大人にもそれぞれの楽しみ方がある

 ヨシタケシンスケの最新刊『あつかったら ぬげばいい』にこんなページがある。

 なぜか道行く人がみな鳥のかぶりものをして歩いている。そんなとき「せかいがかわってしまったらじぶんもかわってしまえばいい」と自分はもっと変わった格好をしてみるのだ。

絵本の解釈は人によって異なっていいのだ ©文藝春秋

「子どもが見たら単純に『面白い絵だな』とストレートに受け取るかもしれません。実は『せかいがかわってしまったらじぶんもかわってしまえばいい』ということは、子どもにとってみたら当たり前のことなんです。周囲が変わったなら、自分もそれに合わせて変わればいい。単純な話ですよね。

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 でも、それを大人が見たら、自分がいま置かれている環境を想像してしまう。例えば会社で部署を異動した時と照らし合わせてみてください。大人にとって周囲に合わせて変わるというのは実は結構大変なことなわけで、だからこそそんな表現が新鮮に感じるんだと思います。

 そんな風に年齢によっても受け取り方が違うのが絵本の良さで、そこが一番面白いところじゃないかと思っています。情報が詰まっていない分、リラックスできる。考えを解放できるという点なのかなと思います」

©文藝春秋

 想像する余地があるからこそ、読む人によって趣が異なる。

 それもまた絵本の魅力なのだ。

なぜいま絵本が大人の心に刺さるのか? 絵本にある“意外な魅力”とは

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