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 トランプ氏の支持率がバイデン氏より低い理由は、トランプ氏がコア支持者を固めることに躍起になっていたためとみられる。このため、トランプ不支持率は、トランプ支持率より常に高い。いずれにせよ、コロナ感染拡大に伴い、バイデン氏に徐々に水をあけられてきた。

 もちろん新型コロナウイルスが襲来したからと言って、自動的にトランプ氏の再選への道が断たれたとは言えないだろう。かりにこの国難時に、素晴らしいリーダーシップを発揮して感染退治が奏功していたならば、逆に2期目へのゴールデンチケットをつかんでいたことだろう。

新型コロナをめぐる“トランプの嘘”が暴露された

 しかし、現実にはトランプ大統領の感染対策は見るも無残だった。世界最強の超大国のリーダーに上り詰めた人物は、人類の天敵である感染症を見くびり、してやられた。

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 調査報道で知られるワシントンポスト紙のベテラン記者、ボブ・ウッドワード氏は9月、トランプ氏の感染対策の嘘と虚実を暴露した。ウッドワード氏は、トランプ氏が2月7日の段階で、「強力なインフルエンザよりも死に至る可能性が高い」と電話で話す音声テープを明らかにした。そして、3月19日には、トランプ氏は「大げさにはしたくない」と言い、公の場でウイルスの脅威を「意図的に過小評価した」と認めるかのような発言をしていた。

 そして、その春先後も感染症研究者など専門家のアドバイスを受け入れず、感染のリスクと対策を軽視し続けた。国民にも嘘を言い続けた。

マスクをつけて電車に乗るNY市民 ©iStock.com

トランプ陣営は敗因をどう分析している?

 これに対し、バイデン氏は「トランプ大統領は脅威を知りながら意図的に国民に嘘をついた。生死がかかっている中での裏切りだ」などと強く非難してきた。また、大統領がもっと早く行動していれば、「数万人の命が救われた」と指摘し、「大統領に不適格だ」と糾弾してきた。

 このように、バイデン氏はトランプ氏の感染対策への対応を非難し、アメリカ国民の支持を広げてきた。大統領選勝利を受け、バイデン氏は早速11月9日に、公衆衛生の専門家ら12人からなるコロナ対策タスクフォースを発足させる方針だ。

 CNNの7日の報道によると、トランプ大統領に仕えるシニアアドバイザーが、大統領選敗北の大きな要因は大統領の感染対策の真剣みの無さと偽情報によって、高齢者を遠ざけてしまったことにあると指摘した。また、別の大統領のアドバイザーは、トランプ氏が高齢者への高い感染リスクを理解せず、トランプ再選で感染が広がることを恐れたお年寄りがトランプ氏に投票しなかったと述べた。

 さらに、3人目のトランプ氏のアドバイザーは感染の封じ込めより、経済の再開を大統領が優先したことが選挙戦敗北を招いたと述べた。