文春オンライン

「グリーンプラザは“聖地”」「泥酔して起きたら高尾山」懐かしの終電エピソードを振り返る

2020/11/13

genre : ライフ, 社会

note

深夜営業のファミレスは帰宅難民のオアシス

 また、終電といえば誰でもやってしまいがちなのが忘れ物だろう。「ヤバい、終電に間に合わない!」とあわてて走ったために携帯電話をどこかに忘れたり、終電の車内に仕事用のカバンを忘れて帰ってしまったりと、こういうことは非常によくある。

 メーカー勤務のEさん(32歳、女性)は「私は上着のコートと家の鍵を直前に飲み会していた店に忘れて帰ってしまったことがあります」と苦笑いする。

「終電にギリギリ間に合ってホッとしていたら、急に不安感に襲われたんです。『何か大切なものを店に忘れてきたかもしれない』と。すると、店に入るまで着ていたコートをいま着ていないことに気がついた。まだ秋口だったのでコートはなくても大丈夫だったんですけど、問題はコートのポケットに入れていたマンションの鍵でした」(Eさん)

ADVERTISEMENT

©iStock.com

 コートを取りに戻りたくても上り電車はなく、終電後なので取りに行けたとしても帰ることはできない。おまけに自宅最寄り駅周辺には漫画喫茶すらなかったという。

「『これは詰んだな』とあきらめかけたとき、少し歩いたところにファミレスのジョナサンがあることを思い出したんです。すかいらーくグループのファミレスは今年5月から全店で深夜営業を廃止したそうですけど、深夜営業のありがたさは帰宅難民になった者にしかわからない。あのときのジョナサンの“温かさ”は忘れられません」(Eさん)