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「承認欲求をもてあまして…」38歳バツイチ独身女が見たマッチングアプリの“凄み”と“出会いのカラクリ”

松本千秋さんインタビュー #2

2020/11/18

source : 文藝春秋 digital

genre : ライフ, 社会, 読書, ライフスタイル

38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記』(幻冬舎)の作者である松本千秋さんは、人生初の彼氏と24歳で結婚し、37歳で離婚。その後、アプリにハマった経験を著書で綴っている。

「好きになったら傷つくのがオチ」と分かっていながら、マッチングアプリ「Tinder(ティンダー)」にのめり込み、相手が体目当てだとわかっていながら、なぜやめられなかったのか。39歳で漫画家となり、40歳で本作がTVドラマ化(テレビ東京、11月18日スタート)されるなど、激動の日々を歩んできた彼女の知られざる半生を聞いた。

前編より続く)

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松本千秋さん ©末永裕樹/文藝春秋

 知性を感じる潔い線。デビュー作とは思えないクオリティに圧倒されるが、松本さんは1年に1冊も漫画を読まず、漫画家を目指していたこともないという。

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「コマ割りとかで漫画を参考にしたことはないですね。なんなら下書きもしないんですよ。もともと映像制作の仕事をしていたので、このカットがきたら次はこのカット……みたいに、カメラアングルでものを考えるところはあるかもしれません。

『38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記』はもともとnoteに掲載していた4コマ漫画でした。それを少しブラッシュアップしたものをコミックエッセイ大賞に応募したらテレビ東京のプロデューサーの方に面白いと言ってもらえたので、『やっぱり映像畑の人には届くんだ!』と、そこから本腰を入れ始めたんです」

『38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記』(松本千秋 著)

 昔から絵が得意だった松本さんはこれまでも度々イラストの仕事を頼まれていたそうだが、「食えるほど頑張らず、結婚してからは扶養控除内の年収を超えないよう」な働き方をしてきたため、キャリアも人脈もない状況だったと語る。

 松本さんは前夫との別居を機に33歳で銀座のホステスに。ほどなくしてイラスト業が軌道に乗ってきたことから2年ほどで水商売を卒業したが、そこに絵を描く喜びはなかった。