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「承認欲求をもてあまして…」38歳バツイチ独身女が見たマッチングアプリの“凄み”と“出会いのカラクリ”

松本千秋さんインタビュー #2

2020/11/18

source : 文藝春秋 digital

genre : ライフ, 社会, 読書, ライフスタイル

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承認欲求からマッチングアプリにハマる

「人妻だったとき、『キャバクラで働かない?』ってよく路上でスカウトされてたんです。夜のお姉さんという職種にずっと興味があって、別居を開始して早々に銀座のガールズバーで働いたんですけど、お客さんに『こんな会社と仕事してるんです』とイラストの話をしたら、『僕の誘いを断ったらその会社と仕事できないようにするよ?』という漫画みたいな脅しを受けまして。そのお客さんを避けるように系列店の高級クラブへ異動して、2年くらい働きました。

©末永裕樹/文藝春秋

 その間にイラスト業の方が忙しくなってしまったので銀座を離れたんですが、同じ絵を描く仕事でも、当時の仕事は楽しいものではなかったです。それこそ生きるための仕事というか、クライアントの言ったままを絵に起こすような仕事だったので、腕一本で食べられるようになっても人生は少し退屈だった。

 一日のほとんどを費やしている仕事が楽しいと思えるものじゃなかったから、承認欲求をもてあましてアプリにハマっていったんだと思います」

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 松本さんがマッチングアプリを初めて意識したのは、13年間の結婚生活にピリオドを打った37歳のことだった。

「せっかく離婚したし、再婚するべきかなあと思って婚活アプリを友だちから教えてもらったんです。でも友だちの話を聞いてもTwitterを見ても、やってる本人たちがあんまり楽しそうじゃなくて、どうにか相手を好きになろうとしている感じがしちゃって。

©末永裕樹/文藝春秋

 そんな時にティンダーを見せてもらったら、『なんでこんなにイケメンしか出てこないの!? 他のアプリと全然違うじゃん!』と衝撃が走りました。こんな世界があったのか!と、遊び半分、好奇心半分でやりはじめたんです」

 手始めに近所で女友だちを増やそうとするものの(同性同士のマッチングもできる)、互いに遠慮し合ってか、連絡を取り合うような関係性を構築できなかった松本さんは、やむなくターゲットを男性に変えた途端、イケメンたちからの「Like」が止まらない“入れ食い状態”を経験する。