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「承認欲求をもてあまして…」38歳バツイチ独身女が見たマッチングアプリの“凄み”と“出会いのカラクリ”

松本千秋さんインタビュー #2

2020/11/18

source : 文藝春秋 digital

genre : ライフ, 社会, 読書, ライフスタイル

note

1週間で7人と会って、8回デート

「その時の実年齢(38歳)を晒しても、顔を半分以上スタンプで隠した全貌がまったくわからないアイコンでも、マッチしまくったんです。30代まで範囲を広げると既婚者の知り合いが出てきてしまったので同世代は除き(笑)、相手はほとんど20代前半の大学生やモデル、俳優、若手のエリートサラリーマン。はじめて1週間で7人と会って、8回デートしました」

松本さんの前に、眩いばかりのイケメンが多数現れる。上は身長186cmのファッションモデル(22)。(著書より)

 このアプリは位置情報を使用して近くにいる相手を表示するため、すぐ会えることが大きなメリットだが、一方で、表示される人の年代や人数には地域格差が生じがちだという。

 しかし、松本さんのイケメン遭遇率の高さは住んでいた地域性に加え、ご自身の魅力によるところが多いように思ってしまう(実際、取材でお会いするととても素敵な方なのである )。

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 もしルックスと活動地域で勝負がついてしまうとしたら、選ばれし者だけのアプリのようにも思えるが……。

「もう引っ越してしまったんですけど、利用時は渋谷区に住んでいました。土地柄、芸能事務所も多いですし、これは私個人の分析ですが、モデルや役者の卵はたいてい、この辺りに住んでいます。当時の私の家は、2キロ圏内に絞れば絞るほどカッコいい人しか出てこないような状況でした。

©末永裕樹/文藝春秋

 それに、今は状況が少し変わっているかもしれませんけど、当時は本当に女性ユーザーが少なかったようで、男子校に女子2人……くらいのノリだったんだと思います。女性とマッチするだけでも大変だったので、それを私が“モテ”だと錯覚してしまいそうに何度もなりました。それに男の人は、遊ぶだけならさほど美女を求めていないとも感じましたね」

 ここでふと疑問が湧く。リアルの世界でもパートナーに不自由していなそうなイケメンたちが、なぜわざわざティンダーを使うのだろうか。