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責任を取らずに遊びたいイケメン

「そんなにカッコいいからこそ、婚活アプリではなくティンダーなんです。彼らは結婚ではなく、多くの女の子と遊びたいんですよ。

 それに変な話ですが、私も彼らとデートをして一緒に歩くのが嫌でした。あまりに見た目に落差がありすぎるのが恥ずかしくて、だったら密会の方がよっぽど気楽でいいや、って。

©末永裕樹/文藝春秋

 海外ではすごくメジャーなので、旅先でやるとその日にマッチして、『旅行中なんです』と言えば『今夜一緒にパブ行く?』って返ってくる。そういう意味では非常に危険なアプリでもあるので十分に気をつけないといけないですが、目的を定めていないからこそ、イケメンたちがたくさん、気軽に利用しているのかもしれません」

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 そもそも年下のイケメンが好みだという松本さんだが、なるべくモデルや俳優に限定して遊んでいたのには、危機管理という側面もあった。彼らの多くは仕事で撮影したようなスチール写真をプロフィール画像に載せていたという。ゆえにいざ何か起きた時、万が一相手が飛んでしまった時にも、職場に問い合わせ可能な人物を選んでいたのだ。

 身の安全と自分の欲望を両立させている松本さんに、アプリの遣い手としての高いスキルを感じる。

「私が勝手に先生と呼んでいた、セフレの“フレンド”部分すらない、“セ”だけを堂々と求めてくるクズファッションモデルがいたんですが、それでも深くエグられなかったのは、私にも恋愛感情がなかったからなんですよね。『この人、浮世離れしたとんでもねーこと言うな』っていう面白さが勝ってたので、傷つかずに済んだのかなって。

松本さん史上もっとも印象に残っている男「先生」。その自己中ぶりはある意味、嘘がない。 

 ヤリモクの男だと分かっていても、女の人は、もしかしたらこの人だけは私の中身も見てくれるかもしれない、って思ってしまいがちなんですよね。

 私の場合、『15歳も年下の若いイケメンの皆さん、私なんかに時間を割いてくれてありがとう』っていう、スタート地点からしていい意味で彼らより下に自分を置いていたので、それ以上を求めるような感情もなかった。そのおかげで傷ついたりせずに済んだのかなと思います。自分の家にモデルや俳優が来るっていう嘘みたいなシチュエーションこそが楽しくて、『家に9等身のめちゃくちゃ足の長い人がいる!』って思いながらニヤニヤする。その状況にハマっていたんだなと、今になってみても思いますね」

©末永裕樹/文藝春秋

 現在松本さんは、アプリをやめて仕事に邁進する日々を送っている。最後に、マッチングアプリを教えてくれた親友が突然この世を去ったことを漫画の中で描こうと決めた理由について伺った。(このインタビューの続きは「文藝春秋digital」で公開中)