また504は世界各地でライセンス生産もされ、アルゼンチンなどでは1999年ごろまで作られていたという。
「シンプルで堅牢な作りなので、長く乗っていてもまったく問題ないです。シートもふかふかで、いま売ってるどの新車よりも乗り心地はいいと思いますね。ただ、いまの愛車はクーラーが壊れてしまっているので、夏場は暑いですけど、窓を開けて過ごしています」
504がいまも乗り続けられるのは、壊れにくい設計ということもあるが、大衆車としてとにかく多く生産されたため、交換用のパーツなどが比較的潤沢ということもある。
「調子の悪い箇所があれば、自分でeBayなどでパーツを買って工場に持ち込み、修理をお願いしています。なので、いまのところ部品で困るということはなさそうですね。ただ、ずっとお願いしている整備工場の方がお年を召してそろそろ引退というお話なので、引き続き整備していただける方を探さなくてはと思っています」
須賀さんはプジョー504に限らず、昔のクルマだからこそ長く乗り続けられると主張する。
「20年、30年も乗り続けられるのは、やはり長く乗ることを想定して作られたモノだからだと思います。プジョーはパーツからぜんぶ自社製で、耐久性も含めて管理・生産されていた。いまのクルマは“家電製品”と同じ、10年くらいで買い換えることが前提で、長く持つように作ってないし、パーツ生産もすぐに打ち切られてしまいますから」
近年のクルマは、そもそも長く乗り続けることを想定していないため、耐久性という面では劣化している。どれだけ丁寧に扱っても、壊れてしまうものなのだ。
こうなると、昔のクルマを乗り続けている人が「記録」を伸ばす一方で、これから新車を買った人がその年数を追い越すのは難しそうだ。
俗に、同じクルマに長く乗り続ける人は、人生のパートナーも大切にする。須賀さんに尋ねると「確かに、私も結婚してから妻に一途ですね」と笑う。
ちなみに、伊藤かずえさんは、1999年にロックバンド「SIAM SHADE」のベーシストと結婚したが、2013年に離婚している。