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「トランプ氏は〈闇の国家〉と闘っている」
「Qアノン」とは、アメリカの機密情報を知る当局者と自称する「Q」なる存在が、インターネットの匿名掲示板で発信した情報を信じている人だ。そのスタンスは反民主党、反リベラル、そしてトランプ氏を熱狂的に支持というものだ。
「トランプ氏はアメリカの政治を陰で操る〈闇の国家〉と闘っている救世主だ」
ではトランプ氏が選挙で敗れてしまえば、話は終わり、そうした陰謀論は消えてなくなるかといえば、そうではない。
なぜなら、すでにQアノンはアメリカ中央政界を侵食しているからだ。
大統領選と同時におこなわれた連邦下院議員選で、Qアノンの信奉者とみられるジョージア州から出馬したマージョリー・テイラー・グリーン氏が圧勝。彼女以外にも、Qアノン支持を明言こそしないものの、その影響を受けているとみられる当選者が、複数、出ると報じられている。
“陰謀論”がワシントン中枢に入り込んだ
上述の渡辺教授は、「文藝春秋」12月号において、こう述べている。
「これまでは陰謀論的な勢力に加担してしまうと、さすがに広範な層からの支持が得られず、選挙に勝てないとされてきました。
そのため陰謀論は政治の世界から排除されてきましたが、それがワシントンの中枢に入り込んでしまった。これはアメリカの歴史において、初めての事態ではないでしょうか」
その上で、こう指摘した。
「Qアノンを生み出したアメリカの社会・政治状況は当面、続きます。Qアノンの台頭は、選挙の結果そのものよりも、ある面では重い現象だといえるでしょう」
では、なにがQアノンを生み出したのか。その背景には被害者意識があると、渡辺教授は指摘する。