昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「“体内受精”もあるの?」「それはセックスです」…息子の性の質問に、女性弁護士が淡々と答える理由

『これからの男の子たちへ』著者・太田啓子さんインタビュー

2020/11/22

 男児2人の子育て中の弁護士、太田啓子さんによる書籍『これからの男の子たちへ「男らしさ」から自由になるためのレッスン』(大月書店)が話題だ。8月下旬の発売からじわじわと版を重ね、11月末現在で5刷になるという。

 出版前からAmazonのジェンダー部門で1位を独走した異色の子育て本のキーワードは、「男の子の子育て」と「男らしさ」。なぜいま、「男」が問題なのか。

太田啓子さん

離婚相談でよく見る男性の問題行動

――弁護士の太田さんのもとには女性依頼者からの離婚相談が多く寄せられ、そういったケースで見られる男性側の問題行動が、本書の執筆にも深く関わっているとありました。「問題行動」を具体的に教えて下さい。

太田啓子氏(以降、太田) 一番気になるのは、妻と対等な話し合いができないこと。たとえば妻が貯金を増やすためお金の使い方を相談しようとすると、「俺が死んだら保険金が入るから、死ねばいいんでしょ」と言うなど、話し合いにならない、話し合う気がない。

 浮気や風俗通いをやめてくれと頼めば、「お前がさせないからだ」と相手を悪者にして被害者ぶる。

 相手に罪悪感を植え付けるような言い方をして話し合いにならない夫と、それでもなんとかコミュニケーションを取ろうと妻があの手この手を尽くすんですが、どれも報われずに疲弊していく。また、セクハラ加害者の男性も、被害者の声を正面から受け取れず、逆ギレしたり居直ったりすることが多いです。

 離婚もさまざまなケースがあるので、女性側に問題がある場合ももちろんあります。ただモラハラ妻というのは千差万別で一概に特徴を表しづらい一方で、モラハラ夫というのは大変共通点が多く、不思議なほどパターン化されていると感じます。このパターンに、「有害な男らしさ」に基づくものがある気がします。

太田啓子著『これからの男の子たちへ「男らしさ」から自由になるためのレッスン』(大月書店)

 私は、そういったモラハラ夫が、妻が安心できるレベルにまで改心した例を見たことがありません。でも、女性を自分と対等に見られない、深い性差別意識が根付いている男性だって、生まれ落ちた瞬間から男性優位思想の持ち主かというと、決してそうではないですよね。

 社会で生きていく中で、いわゆる「有害な男らしさ」を身に付けていってしまった結果が、DVやモラハラなど男性の問題行動を生み出しているのではないでしょうか。

 だとすれば将来、息子たちが性差別的な言動を取らないようにするために、今まさに男の子の子育て中の大人たちが考え、行動すべきことがあるのではないかと思ったのが執筆のきっかけです。