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「赤ちゃん顔の私も可愛いでしょ…」承認欲求を満たす“間接自慢”がやめられない若者たち

『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』より #2

2020/11/20
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「そっくりさん」アプリと「赤ちゃんフィルター」

 また「そっくりさん」アプリは、自分の顔写真をアップすると、自分が芸能人の誰に似ているかを診断してくれるアプリです。診断結果として出てきた芸能人が誰かにもよりますが、人は大概、芸能人の○○さんに似ていると言われるとうれしいものです。

©iStock.com

 私もやってみたところ、俳優の山田孝之さんという診断結果が出てきて大変光栄でした。坊主に髭で小太りの私は普段から「クロちゃん」に似ていると言われることが多いので(ご本人に確認したところ、クロちゃんも私に似ていると言われることが多いそう)、山田孝之さんに似ているという診断結果は正直、嬉しかったです。もちろん、クロちゃんもバラエティ番組に欠かせない素晴らしいキャラクターだと思いますが、ゲスキャラのイメージも強いので……(実際のクロちゃんは礼儀正しいナイスガイ)。

自己承認欲求・発信欲求を満たす手段

 Z世代は、このアプリで自分の顔を診断し、その結果をSNS上でシェアし、間接的・婉曲的にかっこいい、可愛い自慢をしているのです。

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「赤ちゃんフィルター」という加工も流行りました。これは、自分の今の写真を赤ちゃんのような顔に加工してくれるものです。自ら望んでこのアプリを使ったにもかかわらず、「こんな赤ちゃんにされちゃった」と加工結果をSNS上でシェアし、間接的・婉曲的に「赤ちゃん顔の私も可愛いでしょ」ということを周りにアピールするのです。

 どの赤ちゃんも、ほぼ例外なく可愛いように、赤ちゃん顔に加工すれば、誰でもある程度は可愛くなるに決まっています。これも他の例同様、間違いなく計画的な犯行です(笑)。

 このように、SNSの普及によって「間接自慢」という手法が広がり、自己承認欲求や発信欲求が強いZ世代は、炎上しにくい「間接自慢」の一手法としてこの「診断シェア」を好むようになったのです。

「赤ちゃん顔の私も可愛いでしょ…」承認欲求を満たす“間接自慢”がやめられない若者たち

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