港での長時間待機
コンテナターミナルの混雑ぶりは尋常ではない。東京都トラック協会が2019年5月に実施した定期調査によれば、東京港の各コンテナターミナル(大井地区、青海地区、品川地区)での待機時間は、輸入、輸出ともに平均で2時間以上、最長では8時間を要していたケースもあった。ドライバーたちは待機している間、トイレにも行けずに積み降ろしの順番を待ち続けている。
港での長時間待機は、海上コンテナ輸送を手掛けるトラック運送会社の収支を圧迫している。ターミナルでのコンテナの出し入れに多大な時間を費やすため、大型トレーラーの一日当たりの稼働量(運行本数)が限定されてしまい、売り上げが思うように伸びないという。
そして会社として十分な収入を確保できなければ、当然、ドライバーの賃金を低く抑えざるを得なくなる。仕事はハードなのに、それに見合うだけの報酬を手にすることができなければ、ドライバー人材が集まるはずはない。海上コンテナ輸送は、収益悪化が労働力不足を招く負のスパイラルに陥ってしまっている。
環境改善のめどは立っていない
その一因でもあるコンテナターミナルでの長時間待機の問題は、解消に向けた対策が長年にわたって官民で議論されてきた。しかし、その進みは“牛歩のごとく”であり、海上コンテナ輸送を手掛けるトラック運送会社や実務を担うドライバーたちは満足していない。
経済のグローバル化で国際貿易が活発化し、コンテナ貨物の取扱量は世界的に拡大している。これを受けて、海外の主要港では、接岸した船での積み降ろしやコンテナヤードでのハンドリングといった港湾荷役を365日24時間体制で展開している。
ところが、日本では未だ港湾荷役の稼働時間を制限している港が少なくない。コンテナのボリューム拡大に対し、荷役が十分に供給されない需要過多の状態であれば、インフラ(コンテナターミナル)が混雑するのは当たり前だ。今後、日曜(休日)荷役や夜間荷役など混雑緩和のための取り組みが浸透していかないかぎり、ゲート前やゲートの周辺道路で大型トレーラーが長蛇の列をなす光景は消えることがないだろう。