1ページ目から読む
4/5ページ目

20歳代のドライバーはわずか3.1%

 ドライバーの高齢化も加速している。関東トラック協会が実施した調査によれば、2020年3月31日時点で、海上コンテナ輸送を手掛けるドライバーの平均年齢は49.9歳だった。トラックドライバー(道路貨物運送業)の平均年齢(全国)は大型で48.6歳、中小型で46.6歳となっており、それらを1~3歳程度上回る水準で推移している。

 年代別では「50歳代」のドライバーが最も割合が大きく、全体の36.0%を占める。次いで「40歳代」が33.9%。「60歳代」13.1%、「30歳代」11.2%、「20歳代」3.1%、「70歳代」2.7%と続く。

「40歳代」以上は全体の実に8割超に達しており、そのことからも高齢ドライバーへの依存度の高さが窺える。ちなみに、同調査で確認された最高齢のドライバーは79歳だった先にも触れたが、大型トレーラーのハンドルを握るためには、大型自動車の運転免許のほかに、牽引免許を必要とする。長きにわたる活躍が期待できる若年層がなかなか流入してこないのは、このような資格上のハードルの高さもネックになっている。

ADVERTISEMENT

 こうして海上コンテナ輸送の現状を見ていくと、「女性の未経験者」であるユミさんが大型トレーラーのドライバーとして採用された理由が何となくわかった気がした。乗務に欠かせない資格(免許)をすでに持っていて、年齢は30歳代。長時間待機など過酷な労働環境も厭わない“やる気とガッツ”がある。海コン業界が求めているドライバーとしての条件を満たす稀有な存在であることが採用の決め手となったのだろう。

待機時間中はスマホいじり

 大阪南港に向かう車中では、ユミさんにプライベートについても色々と話を聞いてみた。 趣味は食べ歩き。休日の日曜日には、メディアや口コミで評判のいい肉系メニューが充実した飲食店に足を運ぶ。食事をしながら、口にした牛肉の珍しい部位や、料理が綺麗に盛りつけられたプレート(皿)をスマホのカメラで写真におさめていく。それを自身のインスタグラムのページにアップすることを楽しみにしている。

©iStock.com

 運転中は車内にJPOPを流している。お気に入りのアーティストの一人は「あいみょん」だ。普段は娘さんと一緒にカラオケ店で熱唱しているが、最近は新型コロナの影響で足が遠のいており、もっぱら運転席での“ひとりカラオケ”に興じている。

 ゲート前での待機時間中にはスマホが欠かせない。ユーチューブで好きな動画を観たり、SNSをしたりして過ごすことが多い。LINEグループを通じてドライバー仲間たちと周辺道路やゲートの渋滞状況などを共有するのも日課の一つだ。ドライバーたちから寄せられる生の声は、ナビが提供してくれる情報よりも精度が高く、とても役に立つのだという。

 トラックドライバー職に対する女性としての不満や不安なども聞いてみた。