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〈「ジャニーさんは60年に及ぶキャリアのなかでたくさんの男性アイドルグループを生み出し、日本のエンターテインメント産業だけでなく、アジアのポップカルチャー全般に多大な功績を残しました」と彼は語る。「日本以外のグループも、ジャニーさんが1960年代からやってきた仕事が、彼らの活動のルーツとなっていることが見出せます」〉(「Variety」より)

 さらに、次のような記述が続く。

〈K-POPは世界で爆発的な人気を博しているが、松本は悪い感情を抱いていないと言う。「一部の人が想像するような同族主義の感覚はありませんが、ジャニーさんが数十年前に基礎を築いてきたものが国境を越え始めているということに誇りを感じます。ジャニーさん亡き後も、そのレガシーは受け継がれ、生き続けています」〉

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 松本が「K-POPのルーツがジャニーズ」と言った訳ではないのだが、アメリカでの発言が日本を飛び越えて韓国で“沸騰”。記事が出た翌日、11月3日付の国民日報は、「『K-POPのルーツは日本のアイドル』 嵐の発言に火がついた議論」と題された記事を公開した。

松本潤の発言を報じる「国民日報」(11月3日付)

 ネットでの報道も相次いだ。ネットメディアのOSENも同日、「日本の国民グループ嵐がK-POPがジャニーズに根ざしていると発言し、非難が殺到している」とした上で、「K-POPがジャニーズのJ-POPに根ざしているというような嵐の発言に、世界のK-POPファンの非難が続いている」と報じた。

 さらには韓国の3大紙も参戦。中央日報(電子版、11月5日付)が、「K-POPブームのルーツが日本文化だと主張する日本アイドルグループメンバーの発言が伝えられて、韓国インターネットユーザーから怒りを買っている」として、「一部のインターネットユーザーは米バラエティーのホームページに直接反論のコメントを書き込んだ」と、報じるまでの騒ぎとなった。

ジャニーズとK-POP「共通点と相違点が…」

 韓国で投稿されたコメントにも、「(東方神起や少女時代を生んだ)SMエンタテインメントのイ・スマン代表がジャニーズを積極的にマーケティングしたことはしたが、参考にした程度」とあるように、初期の韓国の音楽業界が、ジャニーズ事務所のアイドルのマネージメントを参考にしていたことは知られている。

 しかし、近年では、「今年デビューしたSnow Manをはじめ、ダンスを売りにしているジャニーズのグループの曲調、さらにはPVが、“K-POPに寄せているのかな”と感じるときがよくある」(ジャニーズファンの女性)という声も出てしまうような状況なのだ。

 K-POP事情に詳しいK-POPゆりこ氏は、ジャニーズとK-POPについて「共通点と相違点があるのでは」と語る。

「確かにジャニーズのジュニアとK-POP業界の練習生といった、才能光る学生を囲い込んで育てるという双方の育成システムは似ています。しかし、韓国の場合は海外進出が前提なので歌やダンスだけでなく厳しい語学レッスンも。また、デビューメンバーの選抜をテレビ番組にすることでリアルなファンの声を集め、マーケティングの参考にしています。つまりデビューメンバー決定の際、事務所だけでなく一般視聴者の声が反映されるケースがあるということ。この2つが大きな違いです」