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4時間かけてあの県道に到着!
小川路峠は分断区間のほぼ中央に位置するため、この先にも同じだけの距離が待っている。永遠に休憩したいのを我慢して、峠を下りはじめる。国道を見に来たつもりが、もはや完全な登山になっていた。
終盤に差しかかると道が荒れ、どこを歩けばいいのか、見失いそうになった。そして歩き始めて4時間、ようやく県道に出た。久々に見る舗装路は、何度も行ったり来たりした、見覚えのある場所だった。
前回は気が付かなかったが、“秋葉街道”と書かれた案内板も立っている。案内板の脇に登山道があるわけだが、今さっきそこを降りてきた私が見ても、どれがその道なのかすぐには分からない。先週、ここに来たとき辺りは薄暗く、ましてや車道だと思い込んでいたので、なおさら発見するのは困難だっただろう。国道256号を全線踏破して非常に疲れたが、とても充実した1日になった。
時代に取り残されてしまった酷道の魅力
「なぜこんな道が国道なんだ!」と思うような道でも、昔は重要な街道だったと知れば、納得できる部分もある。鉄道など他の交通手段の発展や、モータリゼーションの到来など、時代の流れによって交通の要衝も変化していく。
今回、ドライブ中に地図に騙されたことをきっかけに、再び現地を訪れて登山する羽目になった。時代の変化に合わせて整備されてきた優等生の国道と違い、時代に取り残されてしまった酷道は、どこか人間臭さというか、親近感を覚える。
たまには高速道路やバイパスを降りて酷道を走ってみるのも、楽しいかもしれない。但し、その代償として、多くの時間と気力と体力を奪われるのは、間違いないだろう。
撮影=鹿取茂雄