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「憧れたのはウチの師匠だけです」明石家さんまが“高校生”から“芸人”になった瞬間を振り返る

『明石家さんまヒストリー1 1955~1981 「明石家さんま」の誕生』より #1

2020/11/28

笑福亭松之助の名調子に頬が緩む

 高文の頬は緩み、松之助の名調子に引き込まれ、一心不乱に聞き耳を立てる。

「朝から晩までうるさいでんなぁ、あのコマーシャルっちゅうの。やかましいてしょうがおまへん。『CM』と書いて『コマーシャル』、ワテ、初め知らんさかい『センチメートル』と読んでましたけどな。

 中にねぇ、ようこんなこと言うてるなぁっちゅうようなコマーシャルがチョイチョイありますねん。その一番ええ例がねぇ、インスタントコーヒーのコマーシャル。“アムステルダムの朝は早い”……どこの朝かて早いがな! アムステルダムの朝だけがはようて、日本の朝がお昼っちゅうことはないねんからね。

 子供番組もいろいろとありますけども、今一番流行ってんのはねぇ、『仮面ライダー』っちゅうのが人気ありまんねん。うちらの近所の子供も、小さい自転車乗って、仮面ライダー、仮面ライダー言うて、走り回ってますわ。

 変身!!……“♪嵐と共にやってきたー 世界の平和を守るため、ゴー! ゴー! レッツゴー! ライダーキック! ショッカー! アホかー!”とこうなる。

 どないおもしろい番組かしら思て、見たんだ。しょーもない番組でんがな、あんた。主役の一文字隼人かなんかいうのがやねぇ、サトツボ(引用者註:砂糖壺)みたいな面かぶって、オートバイに乗ってブーン走るだけでんねん」

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松之助のネタに感服する

 松之助は、「テレビアラカルト」と題された、人気テレビ番組やテレビコマーシャルにツッコミを入れていくネタを披露していた。松之助のネタのセンス、軽妙なテンポ、語感の鋭さは、高文の笑いのツボを刺激し、感服させた。

 さんま「僕は生意気な高校生だったから、他の芸人が出てきても『意地でも笑ってたまるか』とライバル視してたようなところがあったんですけど、ウチの師匠のだけは本気で笑うてしまったんです」(「本人 vol.11」2009年9月)