彼は究極のナルシスト
そして彼とは、全く緊張せずに話ができました。そのとき、彼と私は性格が似ている部分もあれば、彼は究極のナルシストで、私は究極に自分に興味がないという、正反対の部分もあることがわかりました。無邪気に思いついたことをどんどん口にする彼と、相手のペースに合わせながら、ときにはっきりと自分の意見を言わずにはいられない私の会話は、とてもうまくかみ合って、いつまででも話をしていられそうなくらい盛り上がりました。
結果として「プロ野球選手」とお付き合いすることになりましたが、特別そのことで「すごい人」だという感覚はありませんでした。どんなお仕事でも、みんなそれぞれ才能を発揮し、プロとして仕事をしていますから、肩書の前に1人の人間としてどうなのかが一番大切なこと。
私たちはお互いの人間性に惹かれてお付き合いを始めました。
全力で走っている人は振り返らない
彼がもう一度プロ野球選手を目指すと知ったのは、インターネットの記事を見てでした。正直な感想は「やっぱり野球が好きなんだな」ということです。
夢に突き進んで自分を貫き通して追い始めるときはたくさんの人の否定を浴びます。でも夢が形になるとき、自己中や我がままだのと言われてきたことが“個性”になるのだと思います。
そして簡単には割り切れなかったと思いますが、お金で豪快に騙されたからこそ、こういう夢をまた設定できたのではないかな?中途半端に騙されていたら中途半端な決意しか思い付かなかったかもしれません。
物は思いようで、お金がなければ騙そうと誰も寄ってこないし気楽です。
剛志君はお金は失ったかもしれない。だけど彼の築いてきた経験という財産は、誰にも盗まれないしお金では買えない輝かしい日々です。
メジャーの選手であるだけでも、なかなかできることではないのに、それ以外の時間も笑顔で働いていたことは並大抵ではなく、命を削るような日々であったことを私は知っています。