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 恐怖心のあまりヒステリックに行った素人除染は、結果的に成功だった。が、線量より汚染……そう言われてもピンと来ない。

「1Fの敷地内で、マスク取ってタバコ吸ったって書いてたでしょ、週刊誌に。でも、マスクを外したからって内部取り込みするってわけじゃなくて、バサバサしない限りはそんなに問題ない。知識のない人たちは(放射性物質が)舞い上がってるの知らないで吸っちゃったりするから、一律ちゃんと付けなさいと徹底管理するしかない。みんな線量に頭がいってるじゃないですか。じゃあ汚染はどうなのってことなんです。基本的に各地の放射線量が上がったと報じられるけど、元々の線量はいくらなんですか、と。大理石でも温泉でも線量高いじゃないですか。線量よりも敏感にならなくちゃならないのは汚染なんですよ。道路が汚染されてる場所で、ガバーッと車走らせると埃みたいに舞って吸っちゃいますから。それで内部取り込みするんです」(同前)

実際の汚染度は10倍

 そもそも汚染度とは何か?

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 ヒントになるのは、原発内の区域区分である。

©iStock.com

 原発はどこでも、線量と汚染を組み合わせ、その場所の危険度が分かるよう区分されている。線量を表すのが1から3までの数字で、1区域は線量当量率が0・05ミリシーベルト未満、2区域が0・05~1・00ミリシーベルト未満、3区域が1ミリシーベルト以上の区分となる。

 汚染度はA~Dまで区分があり、作業員の装備は線量ではなく、汚染区分が基準となる。特別保護具や全面マスクが必要なのは、線量にかかわらずC、D区域である。

「鈴木さん、東芝の下請けだったですよね。シェルターの中……あれだけ厳重に管理してても、自分たちの感覚でいえばD区域相当。今までの原子炉の中で飯食ってるようなもんですからね。徹底的に管理されてる場所で休憩してるに等しい。重汚染区域で平気で飯が食えるっていうのは麻痺してるんです」(同前)