日本の中間層がアジアを訪れても富裕層気分を味わえない現代
かつては、日本の中間層がアジアに行けば、まるで富裕層のような気分を味わうことができました。しかし、現代社会では、日本において平均的な所得以下しか得られない人は、アジア地域における有名企業の社員よりも生活水準は大幅に下がってしまいます。国全体が貧しくても、グローバル基準を満たす企業の社員になれば、先進国の人たちと同じ生活を送ることが可能です。
どの国に生まれてもチャンスがあるというのはよいことですが、逆に言えば、各国において、相対的に高い所得を得る層に属していないと生活が苦しくなるということでもあります。
これまでの日本社会では、普通の仕事に就いていれば、それなりに豊かな生活を送れるというのが一般常識でした。しかし、これからの時代は規模が大きくても、グローバル水準の賃金を支払えない企業で働く場合、生活は決して豊かにはなりません。日本から一歩も出なくても、全世界と戦っているようなものですから、ある意味ではとても厳しい時代に入ったと考えることもできるでしょう。
このように、国内の経済事情とグローバルな経済事情に乖離が生じている場合、価格体系がちぐはぐになりやすいわけですが、その影響をもっとも受けているのが、グローバルに価格が決まる携帯電話の通信料金や不動産価格、そして自動車の販売価格です。
iPhone購入の負担感は世界一
日本では携帯電話の通信料金の高さが政治的なテーマとなっており、政府が事業者に対して是正を求めるという事態にまで発展しました。日本の通信会社の料金体系は不透明であり、プランが分かりにくいという問題があったのは事実ですが、国際的に見た場合、通信料金そのものは特別に高いわけではありません。
総務省の調査によると、データ容量5Gバイトのプランでは、日本の月額料金は3760円でしたが、これに対して米国は5990円、フランスは1783円、ドイツは1893円、韓国は4256円となっており、日本は高くも安くもないという状況です。