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 そんな安達に密かに思いを寄せる、完璧なイケメン同期・黒沢を演じるのは、ドラマ「中学聖日記」(TBS系)、「ギルティ~この恋は罪ですか?~」(日本テレビ系)など、様々な作品・役柄をフラットかつプレーンに演じてきた町田啓太だ。スッと伸びた鼻梁にクッキリとした二重まぶたと、彫刻的な美しさが際立つ。

 実は放送開始前に、2人をリモート取材したことがあったのだが、まだ顔合わせしたばかりという2人の並びと距離感がすでに「安達と黒沢」だったことに驚かされた。

「仮面ライダージェネレーションズ」に出演していた赤楚(中央)

 ちんまりと座る小犬のような雰囲気の赤楚衛二。それに対して、笑顔で堂々としていて、大人の余裕を漂わせる町田啓太。華奢で小柄に見える赤楚と、頼もしく強そうな町田。

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(余談だが、身長差も理想的……と思ったら、赤楚は実は身長178センチと長身で、181センチある町田との身長差は意外にも3センチしかなかった。これは赤楚の演技はもとより、多少の猫背具合が巧く作用しているのかもしれない)

 2人のような、つぶらな瞳で小柄な“受け(受け身側)”と男性的な美しさを持つ“攻め(リードする側)”の組み合わせはBLでは定番中の定番だ(これが第7話、ついに「両想い」に変わるときに、受けと攻めが逆転しているように見えるのもポイント)。たとえばシリーズ累計300万部を突破したマンガ「純情ロマンチカ」(角川書店)は、多くの人が想像する“BL”ではないだろうか。

「純情ロマンチカ」(角川書店)

 だからこそ、 “BL慣れ”してない人には「チェリまほ」はそもそも観ようと思いにくい。メディア関係者にしても、ここまであからさまなBLドラマは取り上げにくいのではないだろうか。

町田啓太の現実離れした「スパダリ」

 しかし一方で、彼らのビジュアルは「チェリまほ」に必要不可欠でもある。特に町田啓太。彼はその美貌と優しい物腰、上品な色気で「スパダリは実在した」という奇跡を体現している。

 スパダリとは「スーパーダーリン=整った容姿、高身長、高学歴、家事ができる、大人の余裕と包容力ある男性」の略で、現在は若者の間で広く使われるキーワードだが、BL界隈では2014年頃にはすでに“ハイスペックな攻め”を称する際によく使われていた。

 町田啓太はその現実離れしたスパダリを説得力十分に、違和感なく実体化している。

町田啓太ファースト写真集「BASIC」(光文社)

 困っている同僚にはスッと手を伸ばし、女性にも男性にも分け隔てなく感じがいい。しかも自宅はモダンなインテリアの高級マンションで、掃除も行き届いており、料理もお手の物……。常にスマートで、才色兼備、そして優しい。「チェリまほ」の町田啓太はスパダリそのものだ。