《ヤバッ! すっげー近い……(トクントクントクン) 朝からこんなにツイてていいのかな……めっちゃドキドキするんだけど!(ドクンドクンドクンドクン) てか心臓の音、安達にバレてないかな》
赤楚衛二(あかそ・えいじ)×町田啓太出演の話題のドラマ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」(BSテレビ東京系)、通称「チェリまほ」。第1話で、町田啓太演じるイケメン会社員・黒沢の“心の声”に多くの視聴者が悶絶したのではないだろうか。
私は、悶絶した。
原作は「ガンガンpixiv」で連載中の豊田悠による大人気の同名BLコミックだ。30歳になった途端、体が触れた人の心の声が聞こえるようになってしまった主人公・安達(赤楚)。これまで誰とも付き合ったことがなく、“童貞”だったために魔法使いになってしまったというわけだ。そしてある日、仕事がデキてイケメンでモテる同僚・黒沢の心の声を偶然聞いてしまい、彼の意中の人が自分であることに気づく――。
一見すると“トンデモ”な設定だが、これが最高にピュアで愛おしい物語なのだ。
第7話が11月19日に放送され、Twitterトレンドで日本1位、世界5位、タイ2位、ベトナム3位にランクインするという快挙も見せている。しかし、その割には話題になっていないように思う。実際、私も様々な媒体に「チェリまほ」コラムのネタ提出をしたにも拘わらず、どういうわけかことごとくボツにされた。
いったい何故か。
自分の説明の熱の入り方が、もしかしたら前のめりで気持ち悪かったんじゃないかと、しばらく考えていた。それもあるだろうが、それだけではないかもしれない……。
おそらく「チェリまほ」は、“BLすぎる”ゆえに一般層まで浸透しきらず、そして“BLすぎる”ゆえに面白いのだ。
(※本稿には一部あらすじが書かれています。ネタバレになる可能性があるのでご注意ください)
原作ファンも驚愕の再現度
まず、この2人の並びを見てほしい。「キャスティングした人、天才」としか思えないほど原作ファンも驚愕の再現度で、奇跡のバランスだ。
主人公のサエない会社員・安達清を演じるのは赤楚衛二(26)。主演ドラマ「ねぇ先生、知らないの?」や映画「思い、思われ、ふり、ふられ」などで多くの女性を“キュン死“させてきた。
自信なさげにいつもオドオドしていて、人に仕事を押し付けられがちな安達。黒目がちな瞳で童顔、小動物的な愛らしさのある赤楚が演じると、ちょっと上ずった感じの高く上品なかすれ声や、体をギュッと硬くする緊張感など、すべてのリアクションが生々しく、演技には到底見えない。つい庇護欲をくすぐられる。