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いまや「ソロキャンパー芸人」ヒロシが漏らした“みんなで何かやる”への違和感

『ヒロシのソロキャンプ』(ヒロシ 著)――ベストセラー解剖

2020/12/02
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『ヒロシのソロキャンプ~自分で見つけるキャンプの流儀~』(ヒロシ 著)学研プラス

〈ヒロシです。〉で始まる自虐ネタで一世を風靡した芸人が、趣味のキャンプを題材に2015年から始めたYouTube活動でセカンドブレイク。チャンネル登録者数は100万人を超す。本書は数多のソロキャンプ経験と、初心者から玄人まで楽しめる動画を作り上げてきた成果を活かし、写真の選定から文章に至るまでこだわり抜いて作り上げた“ソロキャンプ語り本”だ。

「全体の半分ほどをキャンプ道具の紹介に割きましたが、実際に使用して感じた道具の短所も正直に記す文章は、ヒロシさんのこだわりによるもの。焚き火のページでは、一般的な方法に加え、著者流のやり方も併記するなど、ただのハウツーに留まらず、未経験者でもエッセイ的に楽しめる本になりました」(担当編集者の米本奈生さん)

 読者の男女比は半々。普遍的な支持を受ける理由は、本の末尾に置かれた、やや長めの「おわりに」の文章に対する反響に垣間見える。

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「ヒロシさんはずっと『みんなで』何かをやることに違和感を覚えておられて、ようやくたどり着いた自分らしい生き方がソロキャンプだったんです。『おわりに』にはそこに至る気持ちが率直に綴られていて、コロナ禍でひとりの機会が増え、人と一緒に過ごすことの意味を見つめ直していた人たちに、共感を持って受け止められたのかなと思います」(米本さん)
 

2020年8月発売。初版2万4000部。現在5刷7万3000部

いまや「ソロキャンパー芸人」ヒロシが漏らした“みんなで何かやる”への違和感

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