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2020/12/12

source : 文春新書

genre : エンタメ, 社会, 読書

被害者家族への嫉妬心

 判決までに6カ月の予定で組まれた公判と並行して行われた精神鑑定で、鑑定医はノートに自分の思ったことを自由に記述するように、いわば日記をつけることを勧めたのだ。

 これが、後に鑑定資料として裁判の証拠にもあがってくるのだが、そこにこんな記載があって、傍聴席も息を呑んだのだ。

《豪憲君に対して後悔とか反省はしているけれども悪い事をした、罪悪感というものが彩香に比べてほとんど無いのです。御両親にしても何でそんなに怒っているのかわからない。まだ2人も子供がいるじゃない(註:豪憲君は3人兄弟の次男)。今でも何も無く幸せで生きて来てうらやましい。私とは正反対だ。よかれと思って何かしても裏目裏目に出てしまった。正反対の人生を歩いてうらやましい》(2007年10月21日付)

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《米山さんの言う通りの刑罰を望みますと言った。母と弟、私も泣いていた。検事は罪を軽くする為にそんな事を言ったのだろうと言われた。やっぱり検事は判ってない。それとも職業がら人の言葉を素直に受けとれず言葉の裏を考えるのだろうか?   哀れな人だ》(11月5日付)

 これに先立って、法廷で自らの処罰について訊かれると、

「米山さんの望む通りの罰が当然だと思っています」

 と答え、それは命を以て償うことか、との弁護人からの指摘に、

「私にはその方法しか思いつきません」

 そう泪ながらに答えていたはずだった。(10月31日公判)

《私は傷付いています。もう裁判なんてどうでもいいとさえ思っています。(中略)1人は辛い。何もいらなくなる。人の温もりを感じたい。寂しい。今すぐ家族の元へ帰れなければ死を選びたい。ギリギリの状態で今にもはちきれそうな感じです》(11月6日付)

 山口県光市母子殺害事件でも、被告人の心情を吐露した手紙が物議を醸した。

 いったい、どれが彼女の本当の顔なのだろうか。