米作りをテーマにした異色のゲーム「天穂(てんすい)のサクナヒメ」(PS4、ニンテンドースイッチ、PC)が世界で50万本出荷のスマッシュヒットになり、発売直後からゲームファンの話題をさらっています。「農林水産省やJAのホームページがゲーム攻略の参考になるほど本格的」とまことしやかにささやかれる本作……。一体どんなゲームなのか、実際にプレーしてみました。

印象的なキャッチフレーズ「米は力だ」 ©2020 Edelweiss. Licensed to and published by XSEED Games / Marvelous USA, Inc. and Marvelous, Inc.

「米は力だ」がキャッチフレーズ 「天穂のサクナヒメ」とは

「天穂のサクナヒメ」は、鬼が支配する「ヒノエ島」を舞台に、見た目はキュートな少女の豊穣神(ほうじょうしん)のサクナヒメが、米作りに勤しみ、鬼退治をするという和風アクションRPGです。

©2020 Edelweiss. Licensed to and published by XSEED Games / Marvelous USA, Inc. and Marvelous, Inc.

 大きなストーリーは、エリートなのにぐうたらな生活を送っていたサクナヒメが、神の世界に迷い込んだ人間たちがきっかけで備蓄した米をダメにしてしまい、その責任を取って島の調査を命じられ、イヤイヤ島へ行く……というものです。島で鬼を倒して食料を確保し、島の捜索範囲を徐々に広げながら、米作りをしていきます。シミュレーション要素とバトル要素が合わさったゲームといえるでしょう。

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©2020 Edelweiss. Licensed to and published by XSEED Games / Marvelous USA, Inc. and Marvelous, Inc.
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 ポイントは「米は力だ」というキャッチフレーズの通り、米作りの出来が食料の確保になり、かつ「豊穣神」であるサクナヒメの能力向上(つまりゲームの攻略)に直結していることです。

 田舎出身の私としては、子供時代に見て、(少しだけ)経験した光景がそのままゲームとして再現されていることに驚きました。田起こしから始まり、田植え、水位の調整、草抜き、害虫対策、そして収穫(稲刈り)後は稲架(はさ)掛けで乾燥させ……と、多岐にわたります。

 今の時代は田植えも脱穀も機械の力を使うし、農薬も使えば、米の品種改良もあるのですが、この作品では古代から一昔前までの米作りの苦労が体験できるのです。

 これだけきくと、未プレーの人の中には「面倒くさそう」「ただのやらされるゲームじゃん」と思う人もいるかもしれません。ところが、実際にプレーすると不思議と次第に水田への愛着、秋の収穫期に輝く“黄金(こがね)”の稲穂がいとおしくなり、ついより高い質の米を作ろうと奮闘してしまうのです。