小室さんが書かれた論文や過去のインタビューを見ると、企業法務やファイナンスといったビジネス方面に興味があるように感じます。「弁護士になるかどうかはまだ決めていない」ということでもあるので、弁護士資格を取得したうえで、ゴールドマンサックスのような証券会社でファイナンス分野に進むというキラキラなプランをお持ちなのかもしれません。
たしかに大手証券会社などに入れれば、新卒としては最も豊かな部類の生活が可能です。その先には億単位のお金を稼ぐエリート街道の入り口に立ったと言えるでしょう。ニューヨークは生活費が高いと言っても、皇室の品位を損なうような生活を強いられる可能性は低いでしょう。
しかし世界中の弁護士志望者が目指すこのエリート街道は、まさに“レッドオーシャン”です。ビザの関係もありますから、アメリカで就職するならばアメリカ人が有利。それを覆すほどの実力がなければ、弁護士資格は取ったものの希望の就職先が見つからない、ということも大いにありえます。
名門大学「T14」とそれ以外の溝
そして私が気になっているのは、アメリカの法曹界には「T14」という絶対的な評価基準があることです。ハーバード、スタンフォード、イェール大学といった14の名門校を出たか、それ以外かで、アメリカ法曹界では決定的に待遇が違います。小室さんが通われているフォーダム大学は決してレベルが低いわけではありませんが、T14には入っていません。就職活動でも就職後も、それは間違いなくキャリアに響きます。
さらに今はコロナ禍で、学生がインターンで事務所で働く機会も少ないので、自己アピールも難しい。小室さんが人を惹きつける才能を持っていたとしても、エリート街道を切り開くのはかなり厳しいと言えそうです。
アメリカは州ごとに法律が定められていて、ニューヨーク州で取得した弁護士資格が使えるのは、基本的にニューヨークだけ。もちろん、ニューヨークで資格を取っただけでは日本での弁護士活動も不可能です。日本で独り立ちして働くためには、少なくとも海外で1年以上の実務経験を経てから、最終的に外国法事務弁護士への登録が必要になります。
日本に帰国するとなると外資系の弁護士事務所が就職先の候補にあがると思いますが、ここでも「T14の大学を出ていない」ことは大きなハンデになります。アメリカでも日本でも、小室さんが経済的に安定した地位を手に入れるためには多くの難関を突破しなければいけないということです。