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セクハラ訴訟“福祉のドン”はなぜ権力を持てたのか? 背景にある「有力政治家」との蜜月

セクハラ訴訟“福祉のドン”はなぜ権力を持てたのか? 背景にある「有力政治家」との蜜月

セクハラ・パワハラが横行する福祉業界の「闇」#2

2020/12/06
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 質問に立った立憲民主党・尾辻かな子衆議院議員は、開口一番、田村憲久厚労大臣に対し「北岡氏をご存じか? そして、この報道をどう受けとめているか」と質した。

質問に立った立民党の尾辻かな子衆院議員

 田村大臣は「まだ事実がよく分からない、明らかにされていない」からコメントは差し控えるとしながらも、一般論としてこう答弁した。

「一般的にセクハラという問題は、これはあってはならない話だと思います。雇用機会均等法で、やはり、こういうものは事業主がしっかり対応しなきゃならないというふうになっておるわけでありますが、この北岡さんですか、この人に関しては、私は、もう最近はずっとお会いしていませんが、以前は何回かお会いしたことがございます」

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 質問に立った尾辻議員は社会福祉士、介護福祉士の資格を有し、厚労行政に明るい。

 北岡氏の疑惑を報道で知ったという。なぜ、委員会で取り上げるに至ったか話を聞いた。

「報道によると北岡さんは障害福祉の世界の功労者であることは間違いないと思います。けれども、どんな偉い立場の人、功績を残した人であれ、アカンものはアカンのです。一昨年も財務事務次官が、記者に対してセクシャルハラスメントをして辞任させられました。北岡さんは報道が事実だとすれは、それ以上のことをしていることになります。北岡さんは厚労省や内閣府の委員をされていたわけで、国の事業を主催した社会福祉法人の理事長です。だからこそ、説明責任があると思っています」

北岡氏の不可解な省庁関連職の“辞任”

 質疑を通じて新たな事実も発覚した。北岡氏はこれまで厚労省、内閣府の委員という要職にあったが、いずれも辞任届が提出されたという。

北岡氏との接点を認めた田村憲久厚労大臣 ©文藝春秋

 特筆すべきは辞任の理由が不明確な点だ。尾辻氏の質問に対し、厚労省、内閣府は次のように回答している。

「北岡氏につきましては、社会保障審議会障害者部会の委員でございましたが、この度、所属団体を通じて委員の辞任届が提出されました。この辞任届を踏まえ、厚生労働省といたしましてはこれを受け入れることとし、昨日、11月26日付で委員の辞任となったということでございます」(赤澤公省厚労省障害保健福祉部長)

「北岡氏につきましては障害者政策委員会の委員を11月24日付で辞任されました。これは本人から辞任の申出があったことを受けた辞任ということであります。理由について具体的なところは承知しておりません」(難波康修内閣府男女共同参画局男女間暴力対策課長)