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2020/12/06

 そして、北岡氏と厚労省、有力政治家との癒着が最も顕著に表れているのが「アメニティーフォーラム」と呼ばれる大規模イベントの存在だ。

「障害福祉の世界でアメニティーフォーラムを知らない人はいませんよ。何しろ福祉関係者以外に現役の首長、政治家、官僚、そして文化人、著名人などが、わざわざ北岡氏のお膝元である滋賀に大集結するのです。障害福祉の分野で働く職員の賃金など待遇を決める障害福祉サービスの報酬も、このアメニティーの二次会で決まると噂されるくらいですから」

「アメニティーフォーラム」が開催される琵琶湖沿岸のホテル

 そう話すのは、また別の社会福祉法人の理事長である。

 厚生労働委員会でも度々、その名前が飛び出した「アメニティーフォーラム」は、まさに障害福祉業界の祭典だ。今年開催された第24回大会のパンフレットを見ても、参加者の数、出席者の顔ぶれ、イベントの内容、どれをとっても破格のスケールだということが分かる。

フォーラムの人脈が北岡氏の力の源泉

 大会冒頭、全国ネット顧問の肩書きで北岡氏が登壇する。

 対談相手は、NHK『バリバラ』の司会を務める玉木幸則氏、全国ネット代表・大原裕介氏、そしてアメニティーフォーラム実行委員長であり、北岡氏が「へいもも」の会を設立した当時からの盟友でもあり、北岡氏に性暴力を振るわれたと告発したAさんが所属する社会福祉法人「愛成会」の理事をしている田中正博氏だ。

 突出しているのが、やはり厚労省関係の幹部らの顔ぶれである。

 下記の図は、過去15年間のアメニティーフォーラムのパンフレットをもとに厚労省関係者の参加当時の肩書きと参加回数を一覧にしたものだ。現役事務次官こそいないが、後の事務次官など名だたるキャリア官僚がずらりと名前を連ねる。

 

 

「アメニティーフォーラム」参加者の一部。厚労系の要職経験者がずらり。個人名は黒塗り処理をした

 北岡氏は、2004年出版の鼎談集「僕らは語り合った 障害福祉の未来を」の中で、厚労省とのつながりをこう振り返っている。

「行政の人との出会いって、地方からだんだん中央へ行くのかなと思うんですけど。僕の場合は逆だったんですよ。でも、僕には戦略ってないんです。皆さんどう思っているかわからないけど、自分ではない人だと思っている。最初に出会ったのは地元の市町村よりも厚生省なんですね」

 この本には浅野史郎・元宮城県知事、元厚生省官僚、辻哲夫・東京大学高齢社会総合研究機構特任教授、元厚労省事務次官などの厚労行政に関わる大物の名前が並ぶ。北岡氏はアメニティーフォーラムという場を使って、福祉業界の現場で働く全国の実践者らと政治家、厚労官僚、大学教授、そして、北岡氏の障害者福祉観を支持する文化人、著名人を引き合わせ、そして永田町、霞ヶ関とのパイプを太くしてきた。この北岡氏の行動力と障害福祉への貢献は評価されてしかるべきだろう。

 このフォーラムに参加したことのある福祉関係者は、このイベントに登壇している人々こそが、北岡氏が30年かけて築き上げてきた人脈であり、北岡氏の人生そのものだと語った。

「福祉業界、とくに障害分野は過酷な『3K』労働で、華やかさとは正反対の業界です。だからこそ、日々、当事者に向き合っている福祉関係者は、このきらびやかなお祭り騒ぎを目の当たりにすることで、北岡氏の政治力に平伏し、周囲の誰も何も言えなくなるのです。北岡氏のセクハラやパワハラは内部だけでなく、出入りする関係者の間では周知の事実でした」