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「強すぎる性欲は精神科で治すことができるのか?」精神科医が渡部建会見を徹底分析

「強すぎる性欲は精神科で治すことができるのか?」精神科医が渡部建会見を徹底分析

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不倫騒動発覚までの渡部は「無自覚型」

 自己愛性パーソナリティ障害は『無自覚型』と『過剰警戒型』の2つのタイプに分けることができます。『無自覚型』は、自分が傲慢な態度をとっていることに無自覚で、欲望を満たすために他人を道具として利用するふるまいや他人を傷つける言動を平気で繰り返します。多目的トイレで“行為”をして、1万円を渡すといった不倫騒動発覚までの渡部さんの行動は、まさにこのタイプです。

不倫発覚前の渡部は「無自覚型」だった? ©文藝春秋

 一方で、『過剰警戒型』は、自己愛が傷つくことを過度に恐れて、周りから批判されないように徹底的に自己を防衛しようとする傾向があります。何を聞かれても先回りして『私が悪かった』『すみませんでした』と平謝りして、それ以上の追及を封じようとする。

『無自覚型』と『過剰警戒型』は、何とかして自己愛を守ろうとする点では共通しており、やり方が違うだけです。『無自覚型』は、自分がいかにスゴイかを相手に印象づけようとすると同時に、他人の反応を遮断して、自己愛が傷つかないようにする。一方、『過剰警戒型』は、文字通り過剰に警戒することによって、自己愛が傷つく状況を避けようとする。

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 当然、『無自覚型』と『過剰警戒型』が同一人物の中に同居していることもあれば、時の流れとともに『無自覚型』から『過剰警戒型』へと移行することもあります。報道によれば以前の渡部さんは、プロデューサーや大物芸人などの反応は過敏ともいえるほど気にしていたのに、アシスタントディレクターや後輩芸人などの反応は鈍感ともいえるほど意に介さなかったようです。これは、2つのタイプを相手によって使い分けながら、自己愛の傷つきから身を守ろうとしたからでしょう。

不倫発覚後の渡部は「過剰警戒型」に? ©文藝春秋 撮影・吉田暁史

 また、不倫発覚前の渡部さんは、どちらかといえば『無自覚型』優位のように見えましたが、不倫報道によって活動自粛に追い込まれ、自己愛が傷ついたせいか、『過剰警戒型』優位になったことが、謝罪会見からうかがえました。

 渡部さんを見ればわかるように、『無自覚型』と『過剰警戒型』は表裏一体、もしくは同じ軸の両端とみなすことができます。いずれも、その根底に潜んでいるのは、傷つきやすい自己愛なのです」

渡部も伊藤健太郎と同じく「快感原則」が上回った?

 さらに今回の謝罪会見では、スキャンダルが発覚してから6カ月以上経ったのちに行われたことにも批判が集中した。

妻の佐々木希(32) ©AFLO

「渡部さんは、なぜ会見が今になったかという質問に対して、『まず家族と向き合う時間が必要だった』『文春からインタビューのオファーがあり、すべて答えて謝罪することで収束するのでは、と。今思えば大変甘い判断だった』と答えていました。これは以前、俳優の伊藤健太郎さんがひき逃げ事件を起こした時にもお話ししたんですけど、渡部さんもまた、『快感原則』が『現実原則』を上回ってしまったのだと思います。人間には本質的に不快なものを避け、快適なものを求める傾向があります。これが『快感原則』と呼ばれるものですが、しかし、成長するにつれて、ただ『快感原則』に従って行動するだけだと『痛い目に合う』ことを学びます。そして、嫌なことや面倒くさいことでも、それをしなければ一層厄介なことになるので、そういう事態を防ぐためにはやらなければならないと思い知らされるわけで、これが『現実原則』です。

『現実原則』に基づいてしっかり状況判断できていれば、まず会見を開くことができたはずです。そうすれば、一時的には嫌な思いをしても、これほどまでのバッシングにさらされることはなかった。渡部さんは、とにかく自己愛が傷つくことを避けようとするあまり目先の楽な道を選んだばかりに、かえって事を大きくする結果を招いてしまったのです」