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小説のすべてを音楽に置き換える
ikura 自分たちが何をしようとしているのかを、熱心に説明していただいたんですけど、わたしも最初は正直なところ、「小説を音楽にする」という意味がうまくつかめませんでしたね。
でも、のちに『夜に駆ける』となる曲のデモ音源を聴かせてもらって、ようやく納得がいきました。
その小説の起承転結や雰囲気、テーマやメッセージ。そうしたすべてを音楽に置き換えていって、本気で小説を音楽に変えてしまうつもりなんだな、この人たちは。そう気づいたんです。
「小説の主人公になりきればいいんだ」
ひとつめの楽曲『夜に駆ける』は、それから3か月ほどをかけて練り上げられていった。どのように歌えばいいか、イメージはすぐに湧いたのか?
ikura このユニットで、自分はどう歌い表現すればいいだろう……。制作を始めたころは、正解がまるで見えませんでした。それで原作を何度も読み返して、「小説を音楽にする」ってどういうことか改めてよく考えてみました。
そうしているうちに、思い至りました。わたしはここで、小説の主人公になりきればいいんだって。
物語の中で主人公はどんな感情を抱いて、誰に何を伝えたいと思ったんだろう? そこをしっかり感じ取って、その人になりきることにしました。
それでようやく、YOASOBIでの歌い方はこうだと、方向性がはっきりしてきましたね。