物語が循環するしくみをつくろうとしている
そうして第1弾楽曲『夜に駆ける』が世に出て、第2弾の『あの夢をなぞって』、第3弾『ハルジオン』……。ふたりの個性を生かした楽曲は、発表されるたび多くの人に受け入れられ、共感を生むこととなった。
これは音楽としての快さはもちろんのこと、聴く側が享受したかった「物語」を手渡してくれるような感触があるからのようにも思うのだけれど……。
Ayase そう、僕らは音楽をつくっているというよりも、「新しい物語をつくって、みなさんと共有する」ことをやっているつもりです。
人は誰だって、日々それぞれの物語を紡いでいると思うんです。そこからいろんな感情が生まれて、それがまた明日の原動力になる……という循環の中で生きている気がする。
僕らYOASOBIは、小説を起点にして音楽を生み、そこからさらにアニメーションや映画ができてきて……という、物語が循環するしくみをつくろうとしているのかもしれない。
ikura 誰もが心の中にストーリーを持っているというのは、本当にその通りだと思います。でもふだんは、そこから生まれてくる想いや感情を表に出さないことも多いし、ましてや何かかたちにして発信したりはなかなかしないですよね。YOASOBIは、誰もが胸に抱いている物語の代弁者になれたらいい。わたしたちの発信を受け取ってもらって、そこからみなさんの物語がいっそう膨らんでいくことになったら何よりです。
◆YOASOBI
コンポーザーのAyase、ボーカルのikuraからなる、「小説を音楽にするユニット」 。2019年11月に公開された第一弾楽曲「夜に駆ける」はBillboard Japan Hot 100やオリコン週間合算シングルランキングで複数週にわたって1位を獲得し、ストリーミング再生回数は2020年9月に2億回を突破。
◆Ayase コンポーザー
1994年4月4日生まれ、山口県出身
2018年12月にVOCALOID楽曲を投稿開始。切なさと哀愁を帯びたメロディ、考察意欲を掻き立てる歌詞で人気を博し、2019年4月に発表した『ラストリゾート』はYouTube600万再生突破。2019年11月リリースの初EP『幽霊東京』は即売、通販共に即完。ボカロ楽曲を自身が歌唱するセルフカバーにも定評があり、『幽霊東京』は600万、『夜撫でるメノウ』も300万再生を突破。ボカロP、YOASOBIのコンポーザーとしての活動に加えさまざまなアーティストへの楽曲提供も手掛ける2020年最注目のアーティストである。
◆ikura ボーカル
2000年9月25日生まれ、東京都出身
シンガーソングライター“幾田りら”として活動し、2019年11月16日にはセカンドミニアルバム『Jukebox』を発売。2020年8月よりGoogle Pixel 4aの新CMでカーペンターズ『(THEY LONG TO BE) CLOSE TO YOU』を歌唱するなどその歌声に注目が集まっている。アコースティックセッションユニット「ぷらそにか」にも所属。