女性が目立つと何かと「見た目」に言及されやすい
この「卑猥な画像」問題のやるせなさは、女性ばかりが攻撃の標的になるところだ。例えば、僕はSNSでどんなことをつぶやいても、「卑猥な画像」を送りつけられたことはない。しかし、ジェンダーや性に関する活動をしている女性と話すと、こうした経験があるという人は1人や2人ではない。「卑猥な言動」も含めれば、こうした経験がない人の方が少ないのではないか、というほどだ。
「卑猥な画像」問題は、DM(SNS上でのメール機能)のやり取りで発生するので多くの場合、第三者の目に入りづらい。では、嫌がらせは水面下だけで行われているのかといえばそうではない。女性アクティビストのSNSを覗のぞいてみればすぐにわかるが、彼女たちに誹謗中傷のコメントがたくさん投げつけられている。とりわけ、ひどいのは「見た目」に関する誹謗中傷である。男性にも「見た目」に関する悪口が飛んでくることがあるかもしれないが、女性への罵詈雑言は量・質ともに比にならない。おそらく、こうした罵詈雑言を飛ばす人たちは、一般的に女性が見た目を悪く言われると傷つくことをわかっていて、こうした行動を取っているのだろう。その意味で悪意ある行動だといえる。
でも、ここで本当に重要な観点は、「見た目」は関係ないということだ。女性が目立つと何かと「見た目」に言及されがちだ。しかし、モデルやアイドルなどの外見を自ら売りにしている職業ならともかく、その他の女性に対して、公然の場で「見た目」に言及するのは多くの場合、不適切だ。例えば、会議でも何でもいいが話し合いの場面で、あなたの外見に魅力がないことを理由に、あなたの発言や意見の価値が貶おとしめられたら、どのように感じるだろうか。逆に、別の男性が「イケメンだから」という理由で、その男性の意見が優遇されたらどう感じるだろうか。普通、そんな差別は訳がわからないし、そんなことする奴を理不尽な奴だと思うはずだ。しかし、女性アクティビストに対してだと、そんな理不尽な奴に変貌する奴が出てきてしまう。