――そんなジャニーさんも亡くなり、今はメリー喜多川さんが名誉会長としてトップに立っています。メリーさんはどんな方ですか?
田原 ジャニーさんはトラブル対応は得意じゃなくて、そういう時はいつもメリーさんが助けてくれた。レッスンにも立ち会ってくれて。ほんとに可愛がってもらった記憶がたくさんある。何しろタレントファーストな人だったから、スタッフとかマネージャーにはすごい厳しかったけどね。でも本当に悪いことをしない限り、メリーさんは怒らなかった。筋の通った人だと思います。
でもまあ、メリーさんと一番ケンカしたのは僕だろうね。誰よりも歯向かったし、誰よりも戦ったからね。「ふざけんな!」って事務所のガラス割った時はさすがに怒られたなぁ(笑)。
「ピシっと韓国勢にだって負けないように」
――ジャニーズ事務所を作り上げた2人が現場を離れて、ジャニーズ事務所の雰囲気も変わったと言います。田原さんから見て、近年のジャニーズ事務所の相次ぐ退所や不祥事が続くのはどんな理由があると思いますか?
田原 事務所を出る決断の理由は人によって色々あるでしょうけど。やっぱりジャニーさんがいなくなったのが一番の大きな要因じゃないですかね。ジャニー喜多川というのは、それぐらい魅力ある人間だし。ジャニーさんがいればまた違った形になっていたかもしれないけど、人間、寿命があるからね。こればっかりはしょうがないんだよね……。
半世紀以上、日本のエンターテインメント界を引っ張ってきた人がいなくなっちゃって、みんな自分の居場所を考え直すタイミングだったんだと思うよ。
残るのも卒業するのも、それは個人の決断だからいい。だけど頼りにしていた人がいなくなってしまった以上、自分を信じる力というか、ある種の“バカさ”を持ってるかどうかが問われるよ。そうは言っても、僕の時よりは全然今のほうがぬるいでしょ(笑)。何だってできるはずだよ。1度きりの人生だもん、自分で絵を描かないと。
――ジャニーさんのお墓参りにも行かれたりするんですか?
田原 ん……それは言えないよ。そればっかりはね。こっそり、ひっそり、いずれはね。僕の芸能の父だから。でもこうやって僕が今も歌って踊ってるのも、ジャニーさんへの恩返しなんだよ。ジャニーズっていうのは歌って踊ってなんぼの世界だからね。ピシッと韓国勢にだって負けないようにさ。
インタビュー後編では、ファンと築き上げてきた関係性について、来年迎える還暦について、そしてジャニーズ事務所を退所して見えた世界について語る。