盗撮や気分を害する写真などは言語道断ではあるが、一方で報道などでの露出を期待するスポンサーにより競技を継続できているという現実もあり、その線引きは非常に難しいと浅尾はいう。
SNSを使っていれば、嫌でも目にしてしまう
浅尾という人気選手の出現により、ビーチバレーの大会運営側は2007年以降、観客席からの望遠カメラによる写真撮影を禁止している。メディアにおいては、試合報道以外の目的による媒体は取材不可という規制も生まれた。
これまで多くの女子アスリートが被害を受けてきたと思われる盗撮問題。
長い年月を経て、日本オリンピック委員会らスポーツにかかわる7団体は2020年11月13日、「アスリートの盗撮、写真・動画の悪用、悪質なSNS投稿は卑劣な行為」という声明文を発表した。今後は盗撮防止策、SNS上で身を守る方法を提案していくという。
こういった対策について浅尾はこう言う。
「私自身は、そういう問題が起こるたびに周りに守ってもらったという印象があります。とくに今の時代は私の現役時代とは違ってSNSがあるので拡散される範囲も広くてスピードも速い。SNSを使っていれば、選手自身だって見たくないと思っても、嫌でも目にしてしまう機会もあふれています。
だからこそ、選手がしっかり競技に集中できる環境を作り、守ってあげられる仕組みが必要。今回、陸上の選手の方が声を上げたのは勇気のいることだと思いますし、議題として上がるのも意味があることだと私は思います。それを受け止める側は早急に対応してほしいですね」
スポーツ選手は競技以外でも努力していかないといけない時代
アスリートの活動の本質は、競技力の向上を図り最大限の力を発揮することだ。
ただ一方で、それと平行して競技の魅力や価値を自らSNS等のツールで発信することで露出を増やしたり、ときにはファンとコミュニケーションを図っていくことも、競技を続けていくうえで重要な活動のひとつになりつつある。