「スポーツ選手は競技以外でも努力していかないといけない時代ですよね。競技に支障がなく、選手自身が納得して需要と供給がかみ合うのであれば、スポーツ選手も自分の“肖像価値”を上げる活動をしていっていいと思います。それをきっかけに実力と知名度が上がってスポンサーがつき、コーチがつくなど競技環境がプラスになればいいのですから。
特にマイナースポーツはそういう努力もとても重要になってきている気がします。問題なのは盗撮などによる被害で、自分という“肖像”の見せ方は、選手それぞれの捉え方によって変わると思います」
今の私は「おせっかいおばちゃん」
浅尾が現役を引退してから8年が経とうとしている。
前述のSNSとの付き合い方だけでなく、女子アスリートの在り方ひとつとってもいろいろな変化があった。
「選手時代は人からどう見られるか、どう思われるかばかり気にしていた」と振り返る浅尾。その長い年月は、浅尾自身にどんな影響を与えたのだろうか。
「引退後、自分にはこんなにもたくさんの味方がいてくれたんだ、って思えたんですよ。現役時代はなかなか前向きになることができなかった。いまはそういう考え方が自信になって、周囲のことは気にしなくなりました。今の私は『おせっかいおばちゃん』です(笑)。
例えば、リュックサックのファスナーが全開になっている人がいたら『荷物、落ちますよ~』と声をかけます。この前も電車で見るからにマスクを忘れてしまったんだろうな、という人がいて、自分の持っていた予備のマスクを『使いますか?』って渡しました。そういう行動が平気でできるようになって。以前は行動する前に、周りに“どう思われるか”――そればかり気にしていたんですけど、今は考える前に行動できるようになった気がします」