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「あれっ私は夏目雅子じゃないのか」山田邦子60歳が語る「ブスいじり」と“デビューした頃”――2020 BEST5

「あれっ私は夏目雅子じゃないのか」山田邦子60歳が語る「ブスいじり」と“デビューした頃”――2020 BEST5

山田邦子さんインタビュー#1

2021/01/09

芸人が「主役」になってきて「ヤバい、変な時代がきたな」

ーーでもお笑い芸人もスターじゃないですか。邦子さんもたけしさんもさんまさんもアイドル的な人気があったのでは。

山田 そうでもなかったの。当時はまだコンサートの司会とか、途中を「つなぐ」のがお笑いの仕事だった。ある時から、たけしさんとか私なんかもそうですけど、バラッバラに色んな仕事をやっていたのが「混ざった」んですよね。

ーー「混ざった」とは?

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山田 何だろう、仕事の「芯」みたいなものが見えてきたのかな。「つなぐ」役割から、芸人が「主役」になってきた。お笑いの人たちの地位が向上してきた。そしたら俳優さんもバラエティーに出るようになったし、宮沢りえがコントするようになる(笑)。ヤバい、変な時代がきたなと思いましたよ。

 

ーー今ではごく当たり前に人気アイドルがバラエティ番組で体を張ったりしていますが、当時は違ったのですか。

山田 それまでのバラエティは、あまり売れなかったアイドルがアイドルらしからぬお笑いをやって人気者になるところ。バラドル(バラエティアイドル)の誕生ですよね。井森(美幸)や森口(博子)、山瀬まみちゃんみたいな。それが売れてる子たちがバラエティにくるようになったんですよ。

ーーお笑い番組が「出たい番組」になってきたんですね。

山田 変わりましたね、時代が。ごちゃごちゃっとなって、混ざってきて面白くなった。でもね……やっぱり楽屋の私はいつもひとりぼっちだったし。地方に『ひょうきん族』の収録に行くと、男の子たちはワーッと遊びに行っちゃうんですよ。それでまたポツーン(笑)。

ーーどうしてたんですか、その時。

山田 なるべくくらいついて、たけしさんが行くあとを、金魚のフンみたいについていってました。でもキャバレーみたいな、女の人と遊ぶようなところに行くと「お前帰れ」みたいになっちゃう。私はひとりだなぁっていうのは常にありました。

「男だったらなぁ」って、今でも思う

ーー男の人になりたいと思ったことは?

山田 今でも思いますよ。男だったらなぁって。まだ思います。でも女の子だったから、人気になったんでしょうしね。だからそこはよかったとは思いますけど。たけしさんと男同士だったらどういう風に付き合えたかなと思いますよ。「もう帰れ」って言われないんだろうなって。

 

ーーYouTubeで、かつて色々な事務所にスカウトをされたという話をされていて。でもその時太田プロの社長さんは「女性タレントはめんどくさいから嫌だ」みたいなことを言っていたと。

山田 そう、時代よね(笑)。