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車椅子で活動していることを武器だと思って

――以前「車椅子で私にしかできない表現をしていきます」ともおっしゃっていましたが、今も同じ気持ちですか?

猪狩 そうですね。復帰前に母に「例えばバリアフリーのことにしても、あなたが発信することに意味があるんだと思うよ」というふうに言ってもらったことがあって。やっぱり当事者と言いますか、今まで健常者だったけど、突然車椅子になった中途障害者だからこそ気付けることってたくさんあると思うんです。そういうことを色々発信していきたいなという思いはあります。

――では、車椅子で定義されたくない、でも車椅子ならではの発信もしたい、という両方の思いがあると。

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猪狩 「車椅子を取ったら何もない人になっちゃうんじゃないか」みたいなのも、ある人に相談した時に「逆に捉えて、車椅子になったことをプラスに考えたらいいんじゃない?」と言ってもらって「確かに」と思ったんですよね。

 あんまりいやらしく「車椅子女子です」みたいにアピールするのとはまた違うけど、車椅子で活動していることを武器だと思って、だからこそできることや発信をちゃんと見つけていければいいのかな、と思います。

 

――今はバリアフリーやパラリンピック関係のお仕事が多いと思いますが、それ以外だとどんなことに関わりたいですか?

猪狩 YouTubeでの発信だったり、メディアに出たりだとか、マルチに色々活動していきたいです。バラエティーのような普通のテレビ番組に障害を持っている方が出ることってないじゃないですか。障害を取り扱う番組には出るけど『しゃべくり007』とか『水曜日のダウンタウン』とかにいることってないので。

――そういったことに気づいたのは事故後ですか?

猪狩 そうですね。それまで何も思わなかったですね。今まで障害者が出てなかったような番組に、出ているのが当たり前に見えるくらい、日常的にどんどん呼ばれたら嬉しいですし、私もバシバシ喋っていけるようになりたいです。

「一日一笑い、猪狩ともか」で、よろしくお願いします

――今後打ち出していきたいキャラはありますか?

猪狩 キャラですか。今、結構「真面目軸」にいる気がするんですけど、そんなにお堅く行きたくないので、もうちょっと「弾けた、殻を破った、明るい子」みたいな感じで。

――ご自身にキャッチコピーをつけるとしたら?

猪狩 昔は「ライオンズファン、猪狩ともかです」って感じだったんですけど、何だろうな。キャッチコピーって難しいですね。仮面女子はそういう制度、「何とかかんとか何とか~(アイドルの身振りで)」みたいな名乗りが無いんですよ。

 

マネージャー 劇場では面白くて弾けてる感じだし、ブログでも一番気にするのはオチだよね。常に笑いは意識している。アイドルだけど「一笑い」だよね。何を伝えるにしても、その中に必ず一笑いは入れたいっていう。

猪狩 そう(笑)。

マネージャー たまにブログを公開する前とかに「このオチについて」みたいな相談があったり。

――では、「一笑い、猪狩ともか」?

猪狩 いいですね。「一日一笑い、猪狩ともか」で、よろしくお願いします。

写真=杉山秀樹/文藝春秋

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