『君の名は。』を超えられるのか?
日本で公開されて以来、過去最速となる公開10日で興行収入100億円を突破した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』。韓国でも公開されることが明らかになったのは10月になってからだった。
日本国内で毎日のように新記録を塗り替えている興行成績は、韓国でもリアルタイムで報じられ、既存のファンだけでなく一般人の間でも期待が高まっている。
このような関心の高さは、映画の興行成績にもつながるのだろうか。韓国在住の日本人映画プロデューサーで映画評論家の土田真樹氏は、次のように予測する。
「韓国では『君の名は。』(新海誠監督)の観客動員が370万人を超えるなど、日本アニメのファン層が厚い。不買運動の最中だった2019年10月に公開された『天気の子』(同)は反日感情が最も激しい時期だった影響を受けて約71万人の観客動員に終わったが、韓国映画産業において最長連続上映期間(259日)という新記録も達成して、『西便制~風の丘を越えて』の193日の記録を塗り替えた。『鬼滅』もコロナ禍が変数ではあるけど、平常なら当然100万人以上達成できるだろう」
一方、韓国の映画配給会社の関係者の意見は異なる。
「韓国では独立アニメは人気があるが、テレビアニメの劇場版はあまり興行成績が良くない。韓国で最も幅広いファン層を確保していると言われる『名探偵コナン』さえ、昨年公開された『名探偵コナン 紺青の拳』の観客動員は21万人だった。『コナン』は12歳以上観覧可だったが、『「鬼滅の刃」無限列車編』は15歳以上が有力視される。最終成績は20万人を下回るのではないか」
これまで韓国で、最多の観客動員を記録した日本アニメは、1位が『君の名は。』で約370万人、2位が『ハウルの動く城』(宮崎駿監督)で約300万人、3位が『千と千尋の神隠し』(宮崎駿監督)で約200万人。ただ、テレビアニメの劇場版となると、1位が『名探偵コナン 漆黒の追跡者』で65万人、2位も同シリーズの『名探偵コナン 沈黙の15分』で64万人となっている。
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の韓国での配給を担当しているSMGホールディングスによると、暫定決定された公開日は12月10日。現在、上映等級は審議中であるという。(編集部注:本記事公開後、新型コロナ感染拡大により公開延期)
果たして『鬼滅の刃』人気は日本を越え、韓国映画界でも新たな記録を打ち立てるのか。まずは、上映等級や上映館数など、正確な上映スケジュールが決まる11月末を注目してほしい。
2020年 国際部門 BEST5
1位:韓国で『鬼滅の刃』ファンが“売国奴”と罵られる理由〈炭治郎の“旭日旗”耳飾りは変更〉
https://bunshun.jp/articles/-/42237
2位:モーリシャスで座礁 「社員17人」の小さな会社は莫大な賠償金を支払えるのか
https://bunshun.jp/articles/-/42236
3位:相次ぐベトナム人犯罪のなぜ? 「ひとり月500円」「性接待も日常的」……実習生送り出し機関の“悪質な手口”
https://bunshun.jp/articles/-/42235
4位:「家にトイレがあれば、約400人の女性はレイプを免れた」 インドにおけるレイプ犯罪の深刻さ
https://bunshun.jp/articles/-/42234
5位:北朝鮮工作船に“防弾チョッキなし”で乗り込め…あの日、海上自衛官は死を覚悟した
https://bunshun.jp/articles/-/42233