「選手は、国籍を持つ国や、居住する国の陸上競技連盟には登録しますが、直接WAに登録する仕組みはありません。WAのサイトでは、一定レベル以上の記録を出した世界中の選手について、選手情報のページが作成され、生年月日や出場した大会での記録などが掲載されますが、WAがどのような方法やデータ、掲載基準を基に掲載しているかは公表されておりません。
基本的には、各国からWAに報告した大会の記録や選手の情報を基に掲載していると思われますが、詳細な仕組みは不明で、本連盟でも把握しておりません。エスターさんは2019年度から本連盟(日本)に登録しておりますが、WAのエスターさんの選手情報ページには2017年の記録から掲載されているため、ケニアからWAへ報告されたデータを基に作成された選手情報ページが誤っており、そのままこれまで掲載されていたと思われます」
状況改善が難しい、世界陸連の事情
故郷のケニアを離れ、陸上のために日本へやってきたワンブイ選手。たしかにアフリカなど、国によっては出生の届けが日本ほど厳格ではなく、「本当の年齢がわからない」ケースはなくはない。箱根駅伝などは年齢制限がないため一度登録した年齢が後に変更になっても大きな問題にはならないが、高校駅伝では出場資格が誕生日で厳格に制限されているため、大問題になりかねない。
今回は大事に至る前に解決を見たが、同様の事態が再び起こらないように対策をしてほしいところだ。しかし前出の日本陸連担当者は、「情報が正しいかどうかを確認することすら困難なのが現実」と語る。
「本連盟では現在、大会の記録や選手の情報をより迅速かつ正確にWAへ報告する方法を模索しています。しかしWAの仕組みや設定が明確になっていないので、日本側の取り組みだけでは限界があります。また、WAのサイトには非常に多くの選手が掲載されており、どの選手の情報がいつ掲載されたかも極めて把握しにくいため、日本選手や本連盟登録の外国籍選手の情報が正しいかどうかを確認するのも困難なのが実情です。
エスターさんだけでなくすべての選手にとって、自分の情報が誤って掲載されていれば快く思わないのは当然で、改善されるのが望ましいと思っております。今後は、WAに対してより正確な情報を掲載するよう要望するとともに、本連盟から報告する記録や情報が、できるだけ正しくサイトに反映されるような方法をWAとともに検討していきたいと存じます」(同前)
ワンブイ選手は12月20日、全国高校駅伝で2区を走る。快走に期待したい。