2019年M-1での“流血”で画面に強い印象を残した
彼らの“流血”を強く印象づけたのは、やはり昨年のM-1だっただろう。トップバッターでの出場。ただでさえ結果を残すことが難しい出順。さらにネタが終わると審査員の松本人志から、「(ツッコミが)笑いながら楽しんでる感じが、僕はそんなに好きじゃない」と厳しめのコメントが飛んだ。
「最悪や!」
松本のコメントを聞いた屋敷は、すかさずそうツッコんだ。勝者を決める舞台で悲愴になり過ぎない“負け顔”を晒した彼ら。審査結果は最下位に沈んだものの会場を大いに沸かせ、画面に強い印象を残した。
そんな彼らの立ち回りは、先輩芸人たちをもってして「2019年のM-1のMVP」とも評される。スピードワゴンの小沢一敬は「トップバッターで空気を笑いやすくしてくれたよね、あのツッコミで」と讃え、ファイナリストとして共に戦ったかまいたちの山内健司も「まったく同意見です」と頷いた。当代随一の“流血”と”負け顔”のプレイヤーといって過言ではないアンガールズの田中卓志も絶賛する。
「『最悪や!』って振り切ってるから笑える。膝まで落としてるからいいよね」(『ゴッドタン』2020年2月29日)
準備してきたネタを披露する舞台ではなく、当意即妙のアドリブ能力も求められるトークなどの場面を、芸人たちはしばしば“平場”と呼ぶ。M-1という大舞台で“流血”し、その“平場”の強さを見せつけたニューヨークは、徐々にバラエティ番組への出演を増やし始める。特にその強さは、いわゆる第7世代との対立構図の中で光った。
「なんか俺ら、最後のガラケーみたいな」
霜降り明星らを前に、嶋佐は煽り気味に吠える。
「7~8組の第7世代のせいで、100組以上の芸人がいま路頭に迷ってるんですよ! お前ら7~8組の少ない人数で、俺ら100組以上が路頭に迷ってんだ! お前は悪魔だ!」(『爆笑問題&&霜降り明星のシンパイ賞!!』2020年4月17日)
芸人であることに執着しないEXITらと対比されると、屋敷は絶妙な例えで嘆く。
「なんか俺ら、最後のガラケーみたいな。めちゃめちゃ綺麗な着メロ鳴らそうとしてんですけど」(『あちこちオードリー』2020年10月6日)
かと思うと、「VS 第7世代」の構図でテレビに出る自分たちに、2人は批判的な眼差しも向ける。