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ダウンタウン松本に「最悪や!」…M-1決勝進出・ニューヨークが進む“修羅の道”

2020/12/20
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2019年M-1での“流血”で画面に強い印象を残した

 彼らの“流血”を強く印象づけたのは、やはり昨年のM-1だっただろう。トップバッターでの出場。ただでさえ結果を残すことが難しい出順。さらにネタが終わると審査員の松本人志から、「(ツッコミが)笑いながら楽しんでる感じが、僕はそんなに好きじゃない」と厳しめのコメントが飛んだ。

「最悪や!」

 松本のコメントを聞いた屋敷は、すかさずそうツッコんだ。勝者を決める舞台で悲愴になり過ぎない“負け顔”を晒した彼ら。審査結果は最下位に沈んだものの会場を大いに沸かせ、画面に強い印象を残した。

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©山元茂樹/文藝春秋

 そんな彼らの立ち回りは、先輩芸人たちをもってして「2019年のM-1のMVP」とも評される。スピードワゴンの小沢一敬は「トップバッターで空気を笑いやすくしてくれたよね、あのツッコミで」と讃え、ファイナリストとして共に戦ったかまいたちの山内健司も「まったく同意見です」と頷いた。当代随一の“流血”と”負け顔”のプレイヤーといって過言ではないアンガールズの田中卓志も絶賛する。

「『最悪や!』って振り切ってるから笑える。膝まで落としてるからいいよね」(『ゴッドタン』2020年2月29日)

 準備してきたネタを披露する舞台ではなく、当意即妙のアドリブ能力も求められるトークなどの場面を、芸人たちはしばしば“平場”と呼ぶ。M-1という大舞台で“流血”し、その“平場”の強さを見せつけたニューヨークは、徐々にバラエティ番組への出演を増やし始める。特にその強さは、いわゆる第7世代との対立構図の中で光った。

「なんか俺ら、最後のガラケーみたいな」

ボケ担当の嶋佐和也 ©山元茂樹/文藝春秋

 霜降り明星らを前に、嶋佐は煽り気味に吠える。

「7~8組の第7世代のせいで、100組以上の芸人がいま路頭に迷ってるんですよ! お前ら7~8組の少ない人数で、俺ら100組以上が路頭に迷ってんだ! お前は悪魔だ!」(『爆笑問題&&霜降り明星のシンパイ賞!!』2020年4月17日)

 芸人であることに執着しないEXITらと対比されると、屋敷は絶妙な例えで嘆く。

「なんか俺ら、最後のガラケーみたいな。めちゃめちゃ綺麗な着メロ鳴らそうとしてんですけど」(『あちこちオードリー』2020年10月6日)

 かと思うと、「VS 第7世代」の構図でテレビに出る自分たちに、2人は批判的な眼差しも向ける。