漫才日本一を決める『M-1グランプリ2020』の決勝が12月20日に行われる。今年の大会が昨年までと異なるのは「和牛のいないM-1」であるということだ。
『M-1』は2001年から2010年までの第一期と、2015年以降の第二期に分けられる。そのうちの第二期を特に盛り上げた立役者として知られているのが和牛の2人である。彼らは、2015年から2019年まで5年連続で決勝の舞台に上がってきた。その中には3年連続の準優勝も含まれている。
ネタのクオリティが高い上に、しゃべりの技術も卓越していた和牛は、いつ優勝してもおかしくないと言われてきた。そんな彼らは、第二期の『M-1』で毎回決勝に上がり、ほかの出場者の前に大きな壁として立ちはだかってきた。
「和牛のいないM-1」に起きた変化とは?
逆に言うと、和牛という壁を超えなければ、『M-1』で優勝することはできない。安定した実力を持つ彼らが決勝に進み続けることで、ほかの漫才師も彼らに負けじと奮闘した。その結果、それぞれの実力が磨かれ、ハイレベルな熱戦が繰り広げられてきた。
だが、和牛は2019年大会を最後に『M-1』を卒業すると公に宣言した。まだ出場資格を失っていないにもかかわらず、今年の『M-1』には参加しないことを表明したのだ。
和牛という絶対的な軸を失った今年の大会はどういう展開になるのか。ファイナリストの顔ぶれを見ると、明らかに昨年までとは傾向が変わった。どちらかと言うと正統派ではない個性の強いコンビが続々と勝ち上がってきた。
9組のファイナリストが背負う物語
決勝に進んだのは、アキナ、マヂカルラブリー、見取り図、錦鯉、ニューヨーク、おいでやすこが、オズワルド、東京ホテイソン、ウエストランドの9組。全組が面白いことに疑いの余地はないのだが、それだけでなく、それぞれが興味深いキャラクターと物語を背負っている。