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“蜘蛛の糸”を掴んだ「おいでやすこが」

 彼らはファイナリストの切符を懸けた準決勝の直前に、予期せぬ悲劇に見舞われていた。彼らのようなピン芸人が1年の目標としてきたピン芸の大会『R-1グランプリ』の出場資格が変更され、芸歴10年を超える彼らは出場できなくなってしまったのだ。

 アスリートで言えば、オリンピックや世界選手権が急きょ中止になったようなものだ。ずっと追いかけてきた目標を失った彼らの絶望は計り知れない。

 そんな彼らの目の前に、1本の蜘蛛の糸が下りてきた。本業ではないはずの『M-1』で決勝に進めることになったのだ。準決勝では一番と言っていいほどの爆笑を勝ち取っていたので、この決勝進出はまぐれではない。彼らは堂々と実力で決勝に上がってきた。

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 ユニットコンビがファイナリストになるのは初めてのことだ。予選の勢いを踏まえると、決勝をかき回してくれるのは間違いないだろう。

ウエストランドの井口浩之(左)と河本太 ©山元茂樹/文藝春秋

 また、ウエストランドはかつて『笑っていいとも!』の準レギュラーを務めた経験があり、井口浩之はネット上で「チン事件」を起こして話題になったこともある。決勝経験者のアキナ、見取り図、オズワルドも言わずと知れた実力者である。さらに、敗者復活枠でどのコンビが上がってくるかも予想がつかない。

 2020年の締めくくりに、コロナ禍による重苦しい空気を吹き飛ばすような最高の漫才の大会となることを期待したい。