昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

広がる「ベトナム人お断り」 職探しもアパート探しも難しく……ベトナム人女性の告白

2020/12/21

「求人票に“ベトナム人以外”とはっきり書かれているのを見たときはびっくりしました」

 そう語るのは、都内で建設会社に勤務するベトナム人タオ・ムオイさん(27)。同じように日本で働く友人が転職活動をしているのだが、「ベトナム人お断り」の案件が多く、困っているのだという。

 言うまでもなく、日本でベトナム人による犯罪が相次いでいることに対する動きだ。国籍を制限して求人することは、職業安定法など労働関連法令によって禁じられてはいるのだが、実際はベトナム人の応募を受けつけない企業が増えているという。

仕事も住む部屋も見つからない

「留学生たちも、アルバイトを見つけるのが難しくなっています」

 ベトナム人留学生の中には、飲食やコンビニなどの現場でアルバイトをして生活費を稼ぐ「苦学生」もたくさんいるのだが、なかなか働き先が見つからない人も出てきているという。

YouTuberとしても活動するミン・クィさん(右)と、建設会社で働くタオ・ムオイさん(左) ©室橋裕和

「コロナ禍もあるし、卒業してもベトナム人を受け入れてくれる会社はあるのか、心配しています」

 都内の大学に通う大学3年生、ミン・クィさん(24)も言う。

「アパートも同じです。ベトナム人が借りにくくなっています」

「外国人でも借りられますか」と問い合わせて「大丈夫ですよ」と答えた不動産屋に国籍を伝えると、態度が一変。「すみません、ベトナム人は難しいです」とあしらわれてしまうのだ。

「私がベトナム人だとわかったとたんに冷たくなる日本人もいます。悲しくなります」

 タオさんは声を落とす。

 こうして日本社会から「拒絶」されるベトナム人のほぼすべては、犯罪と何の関わりもなく暮らしてきた人たちだ。

「犯罪については、同じベトナム人として許せないし、がっかりしています。日本人が怒るのもよくわかります。でも、すべてのベトナム人が悪いと思わないで」

 と、ふたりは口をそろえる。