学業と将棋には相関性があると思いますか
――初心者でも入れますか。
天野倉 門前払いはしません。初心者や級位者にどう接するかは現在の課題です。自分たちが強くなって大会で結果を出すことで精一杯になってしまい、なかなか教えることができていません。もう少し余裕があるといいのですが。
――日曜日に大会があるようですが、年間どのくらいですか?
天野倉 どの大会も強制ではなく都合に合わせて出れば良いのですが、レギュラーになると団体戦は出なければいけないし、みんな日曜日に予定を入れないようになります。大学の大会だけで春と秋の個人戦と団体戦が6日ずつ。1年生だけの大会や、大学院生も含めて出られる大会もあります。日本将棋連盟が主催するオール学生(小学生~大学院生を対象に、団体戦と個人戦が別日程で行われる)など、どこの大学も出るような大会もいくつもあり、自分の場合は年の日曜日のうち30日を費やしていました。
――学業と将棋には相関性があると思いますか。
藤岡 王座戦に出る将棋の強い大学には難関と言われるところが多いので、相関性はあるのかもしれません。奨励会に関していえば、学業よりも将棋という人が上に行くと思います。将棋を優先して、勉強は苦手だったというプロ棋士も、地頭はすごくいいのだと思っています。
伊藤 将棋の強い人は学業に適性はあると思います。奨励会時代に見た感じでは、学業と両立している人と、学業は捨てて将棋だけしている人と二極化していたように思いました。時代は変わりつつあるようですが、僕の時代はまだ「奨励会員は学業なんかしている場合ではない」という感覚がありました。将棋が強くなるのは、やっぱり将棋だけの人のほうですね。やればできるのに、全然しないために勉強ができない人はいると思います。
人気将棋ユーチューバー・石川泰さんからの依頼
――外部からはどんな依頼がありますか?
藤岡 東大将棋部OBでもある片上大輔七段の監修で子ども向けの将棋入門書を執筆しないかというお話があり、片上先生と打ち合わせをし、部員で手分けして執筆、出版されたこともありました(「勝つための将棋 入門編」「勝つための将棋 作戦編」「洞察力UP! 東大式将棋 勝つための上達法」3冊とも理論社)。
学内の依頼で詰将棋を解いているときの脳波を測定させて欲しいという実験に協力したことも。単発の将棋イベントのスタッフなど、アルバイトの依頼もありますね。
天野倉 元奨励会三段の人気将棋ユーチューバー石川泰さんから10秒将棋で対決というお話があって、希望する部員6人が石川さんと対戦した動画が公開されました。伊藤さんと僕も石川さんに挑戦しました。
――アマ名人戦、アマ竜王戦など社会人強豪が出る一般大会には出ていますか?
天野倉 茨城にいた中高時代はよく出ていて、県代表にも何度かなりましたが、東京に出てからはあまり出られていません。ただ、プロ公式戦に出させていただき非常にいい経験になったので、チャンスを得るためにも、一般大会にも出ようかと思っています。
伊藤 大学の大会のないときに出たことはあります。アマ王将戦は、居住地に関係なく出られるので、藤岡さんと夜行バスに乗って東海地区のアマ王将戦に出たこともありました。大学に入ってから東京多摩地区のアマ名人戦代表になったことも一度だけあります。
藤岡さん、天野倉は学生二冠になり、プロ公式戦にも出ているので、自分も学生やアマのタイトル獲得やプロ公式戦に出たいという気持ちはあります。再開されればまた、一般大会に出たいと思っています。東京は強い方が多く代表になるのは簡単ではないのですが。