松本さんは「そば処かめや」社長の荒川雄行さんや鰹節問屋の「丸勝かつおぶし株式会社」社長の真辺健治さんを通して知り合った方で、実は某十割そばチェーン店を立ち上げ、成功へ導いた、その世界ではよく知られている達人中の達人である。しかし、話をするとフレンドリーで物腰は柔らかく、とてもチャーミングな方である。
「二八蕎麦 久右衛門」は株式会社越後屋が経営するそば店である。平成13年に虎ノ門でうどん屋として1号店を開店し、その後浜松町店などを立ち上げた。現在はノースポート・モールのほかに、虎ノ門「福禄寿蕎麦」、有明「極麺 たけぞー」などを展開中である。
「二八蕎麦 久右衛門」は2013年にオープンして、今日に至っている。
「はじめはまったく売れなかったんですよ」
「はじめはまったく売れなかったんですよ」と松本さんは切り出した。
その理由が実に面白い。従来のフードコートのそば屋は、「旨くない」という先入観がお客さんにあったという。ハンバーガー、カレー、ピザ、パスタ、オムライス、ラーメンなどのメニューが人気の主流だった。
しかし、徐々に「二八蕎麦 久右衛門」のそばがうまいことが認知されだして、売り上げをじわじわと伸ばしていった。店舗は狭いがフードコート内に出店している店舗の中でも、売り上げは常に上位に入るという。
しかしながら、コロナの影響は相当厳しかったそうだ。
「昨対で2月まではよかったんですが、3月になり土日休業、4/8~5/24まで全館休業となり、もう途方にくれました」
「ああ、開いてた。店がちゃんとあった~」
落ち込んでいても仕方ないと、社長の江波戸千洋さんとメニューの開発や再開後の人員にやりくりなどの体制を整え、再開を待っていたそうだ。
そして、再開すると意外なことがあったと松本さんはいう。