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「マーヴェル」じゃないアメコミの魅力 「すべての人のヒーロー」とは

映画『ワンダーウーマン1984』パティ・ジェンキンス監督インタビュー

2020/12/22

source : 週刊文春

genre : エンタメ, 映画

note

「映画作りは子育てに似ている」

「スティーブを失った後、ダイアナは何十年もの間、ひとりぼっちで友人も作れずにいます。誰かを愛するのを恐れているのです。死んでしまうからです。そして人々から距離をおいてきました。だから誰も本当の彼女を知りません」

 そしてスティーブは戻ってくる。『ワンダーウーマン1984』は、マックス・ロードにとっての『クリスマス・キャロル』であるとともに、ダイアナにとってW.W.ジェイコブズの古典ホラー小説『猿の手』でもある。

『猿の手』は、願いには代償がつきものだという教訓を語っている。『ワンダーウーマン1984』における「代償」は全世界だ。なにしろ1980年代はバブル経済の時代であるとともに、米ソが核ミサイルを構えてにらみ合う冷戦の時代でもあった。

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「ダイアナは1917年の戦争とは違う人類の暗黒面に直面します。現在も世の中にはさまざまな敵意が渦巻いています。それに遭遇し、私もダイアナと同じように感じることがあります。これが人間というものなのか、と。特に今年は信念を試されるような年でした。

 でも、障害に出会うと、私は絶望する前にいつも自分自身にこう言い聞かせるんです。『いや、希望を人々に届けるためにがんばらなきゃ』って。映画作りで困難に直面した時も自分にこう言うんです。『偉大な映画作家はただ自分のために映画を作ってたんじゃない。他の人々を輝かせるために自己に挑戦していたんだ』って。

 映画作りは子育てに似ていると思います。『これを乗り越えたら私はまた少し成長できるんだ』と思うんです」

パティ・ジェンキンス/Patty Jenkins
1971年、米カリフォルニア州出身。映画監督、脚本家。デビュー作「モンスター」(2003)で主演シャーリーズ・セロンが第76回アカデミー賞をはじめ各映画賞の主演女優賞を総なめにした。AMC放送のヒットシリーズ「THE KILLING ~闇に眠る美少女」(11~14)や、CMなどでメガホンをとる。2017年、世界的大ヒット作「ワンダーウーマン」は、北米興収で17年サマーシーズンNo.1の大ヒットとなっただけでなく、女性監督作品として歴代最高額の興収を記録した。

INFORMATION

映画「ワンダーウーマン 1984」
全国公開中
https://wwws.warnerbros.co.jp/wonderwoman/

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