1ページ目から読む
3/4ページ目
ナンパされた男に島に売られたオンナが語った実態
そのオンナは名古屋出身だった。繁華街で男にナンパされ、旅行という名目でこの島に連れてこられた。
男は「ちょっとションベンに行ってくるから」と言い残し、部屋から消えた。その直後、トイレにしては長いなと不思議に思ったくらいのタイミングで、女将さんが入ってきた。そして、こう言い放たれた。
「アンタ、売られたからね」
加藤さんは次のように回想する。
「その話を聞かされた私は、そういう(セックスする)気分になれず、眠くなるまでずっと彼女の話を聞くことにしました。周りに警察もいないし、昼間は逃げないように強面の男たちにしっかりマークされているということでした。
それでも月に1回、島から出て、津に買い物に行ける日があったそうですが、やはり見張り役の男が帯同して集団で行く。逃げる事はもちろん、ちょっとした個人行動もできない。1日1回の電話は許されているが、それも、実家の両親に連絡させて『家出したけど元気にやってる。だから心配しないで』と伝えて、捜索願を出させない目的のため。売られて数ヶ月が過ぎたが、常に誰かに監視されているから余計な会話もできないと打ち明けられました」
彼女が負わされた借金の総額は2000万だという。それまでのペースで計算すると、彼女がこの島を出られるのは3年半後だと、加藤さんに明かしたという。
2000万で売られることが本当にあったのか?
その女性が加藤さんに明かした額は、拙著『売春島 「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ』で紹介した、30人以上のオンナを売り飛ばした人身売買ブローカーの男が一人につき手にした200万、ヤサ男に騙され売られて泳いで逃げたメグミが負った借金200万とは、桁が違う。
加藤さんにその点を指摘すると、次のように説明した。